お勢は裏明智?満島ひかりが「乱歩宇宙」を語る

満島ひかり×江戸川乱歩

12月30日(日)[BSプレミアム]後11:30

俳優・満島ひかりさんを軸に、初期の江戸川乱歩の傑作短編を“ほぼ原作に忠実に映像化”するシリーズが、12月30日(日)に放送されます!

前シリーズでは、満島さんが男性である明智小五郎役を演じ話題を集めましたが、第3シリーズとなる今回は、妖艶な悪女、地味な事務員、さらに嫉妬に狂う若妻までと、3作品それぞれの女性に挑戦。気鋭のクリエーターの映像美はもちろん、宮藤官九郎さん、岩井勇気さん(ハライチ)、高良健吾さんといった共演陣にも注目です!

「最高のチームとの撮影は、楽しいです」と語る満島ひかりさんに、ドラマの見どころを伺ってきました。

 乱歩の頭の中は宇宙だ!

──以前から江戸川乱歩の作品は目にしていたとか?

小学校に行くときや帰り道でも、本を読みながら歩く子どもでした。そのころは、乱歩作品をなんとなくふわ~っと読んで言葉をおもしろがっていたくらいでしたが、二十歳を越えたころに改めて、初期のものから順番に読み返してみたんです。心を翻弄してくる作品の数々に、「このおじさんの頭の中って宇宙だ!“乱歩宇宙”だ!」と、新しい感覚になりました(笑)。

乱歩の登場人物の中では、やっぱり探偵の明智小五郎が好きです! 明智は、プライドは高いけれど決まりごとのない人。前シリーズでは、女の私が演じることでより一層、彼の“つかみどころのなさ”が広がると思い、おもしろく撮影できました。

──今回の第3シリーズでは、満島さんの新たな一面が見られそうですか?

そうだと良いです。これまでに、明智小五郎役を5本と、「人間椅子」で女性の役を1本。今回は3本ともに女性の役で……、まずいんです! このままだと女性役の方が多くなっちゃいます(笑)。

プロデューサーの淵辺さんに「明智小五郎を演じてみたい」と話したことを、こうやって叶えてもらえてから、シリーズを通してワクワクすることをたくさん体験できています。チームのみんながお互いの才能を信じていて、演者も含めた全てのスタッフがアイデアを出し合えるいい現場になっているんですね。私も一緒にキャスティングの話までさせていただくこともありますし。技術部さんも美術さんも衣装さんもメイクさんも、みんなで宝物を出し合って作り上げている感覚です。

 第1章「お勢登場」について

──今シリーズについて、3作品それぞれについて教えてください!

「お勢登場」は、お金はあるけれど幸せは空中に浮いてしまっているような家庭のお話です。私が演じるお勢も、宮藤官九郎さんが演じる夫も、お金はあるんだろうけれどちょっと浮いてるような、その感じを見せる衣装での表現が好きですね。

お勢は、夫殺しの完全犯罪にふとしたことで成功するのですが、“魔が差した”というのをどう作るか、とにかく監督と話し合いました。私は芝居のうえで軽さを出したいなと思い、それで怖さが表現できていたらいいなと思います。

なぜこの作品に「お勢登場」というタイトルがついているかというと、乱歩さんがその後の作品に“明智小五郎の最も嫌な相手”として登場させるつもりだったからだそうなんです。完全犯罪をやってのけた、天然で大胆な人物ですからね。結果的にお勢が登場する作品が書かれることはありませんでしたが、お勢を演じるときは、“裏明智”のような気分で演じていました。

 第2章「算盤が恋を語る話」について

算盤そろばんが恋を語る話」のS子は、“みんなが気にも留めないようなモテない人”という役。一応私は役者をやっていてみんなに気に留められるようなところもあるはずなので、難しい役だなと……(笑)。ボソボソ独り言を言ってみても作り物っぽくなってしまうので、気に留めないというか、むしろ気に留めたくないような方向に持っていこうと考えました。例えばなんでもないときに口元をもごもご動かす変なクセがあるという設定にしたりとか(笑)。

T役の岩井勇気さんと、S子役の満島さん

このお話の相手役は、お笑いコンビ・ハライチの岩井勇気さんです。とても純粋なたたずまいを、モニター越しに釘付けで見ていました。この作品のスタッフさんは、ふだんCMを多く作っているスタイリッシュな方々ばかりだったので、私がどれだけ変なことをしても何か美しいものになるだろうと、ちょっと強引なチャレンジをさせていただけました(笑)。

 第3章「人でなしの恋」について

「人でなしの恋」は、若いころの純粋な気持ちを裏切られた、つらくて痛い壮絶な過去を話しているところから始まります。その悲惨な過去を他人事のように軽く語る主人公は、どこで、誰に向かって話しているのかな?など、ゾワゾワの積み重なる作品です。この回の渋江監督も“宇宙”な人です(笑)。打合せでも、画コンテにも、新しい!と感じる解釈がいつもあって、必ず最後には「わぉ!」と驚きがあるんです。夫役の高良健吾さんと“ある方”の美しいシーンも、お楽しみください。

──今回は、シリーズ3回目にして新たに挑戦されたこともあったそうですね。

「人でなしの恋」は主人公のひとり語りなので、朗読も担当しました。これまでのシリーズでは、すてきな役者さんが朗読をされていたので、「こりゃ大変だ」と(笑)。「屋根裏の散歩者」のときは國村 隼さんに朗読していただいたのですが、それを聞いて、「日本語ってこんなにすばらしいんだ!」と感動しました。そこから学んだ気持ちと、私が持ちえているだけのことを、楽しんで読ませていただこうと。「お勢登場」では、妙な歌声も披露していますので、気をつけて聞いてみてください(笑)。

──最後に、見どころをお聞かせください!

マニアックで美しい乱歩の作品には、日常に窮屈さを感じる心をすくうような、不思議な開放感があります。私も作品に参加しながらちょっと、すくわれているのでしょうね(笑)。「怪しくて色っぽくてバカバカしい、すごくユーモアがあって下手くそで文学的」な乱歩の宇宙。このシリーズには、そういったことを共有しあえる仲間が集まって作っているので、すごく自信を持って見てくださいと言えますし、響くものができたと思っています。

──もしかして、次回の構想はもうあるのですか?

まずは、次の第4シリーズがあることを願うばかりですが。あえて挙げるのならば「少年探偵団」を、短パンをはいたおじさま俳優さんたちとやりたいです! 私は、もちろんまた明智役で!(笑)

佐藤佐吉さん、森ガキ侑大さん、渋江修平さんなど、気鋭の監督たちと満島さんが織り成す“乱歩宇宙”を、お楽しみに~!

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