堺 雅人、香川照之 出演
先の読めない痛快コメディー!

鍵泥棒のメソッド ほか【渡辺祥子のシネマ温故知新】

2月18日(月)[BSプレミアム]後9:00 ほか

プレミアムシネマ2月の注目作品

2月は世界の映画界が注目するアカデミー賞授賞式がある月。日本時間の2月25日にロサンゼルスで行われるが、今年の話題はNetflixから配信された『ROMA/ローマ』。スペイン語映画なのに外国語映画部門と作品賞部門の両方の候補に入ったが、ネット配信された動画を劇場関係のアカデミー会員はどう考えるか? そこが問題。

そんなアカデミー賞授賞式の1週間前、2月18日に放送されるのが、第1作『運命じゃない人』(2004)、第2作『アフタースクール』(2007)でユニークなストーリーを展開、予想外の結末が見る人を楽しませてさまざまな賞を受賞した内田けんじ監督の第3作『鍵泥棒のメソッド』(2012)。

売れない役者の堺 雅人が銭湯に行き、そこの洗い場で滑ってころんで記憶喪失になった男・香川照之の鍵を自分の鍵と取り換えたことから始まるユニークなドラマ。相手の男が誰もその顔を知らない殺し屋だったことから話は予想外の展開に。途中からこの二人の男たちに絡んでくるのが婚活宣言をした雑誌編集者の広末涼子。どう考えても先の読めないおもしろさが注目されて韓国映画がリメイク、『LUCK-KEY ラッキー』(2016)が誕生した。こちらも原作同様に殺し屋が銭湯で石けんに足をとられて転倒、というところから始まる。

【放送日時】
プレミアムシネマ「鍵泥棒のメソッド」
2月18日(月)[BSプレミアム]後9:00~11:10

内田けんじ監督は高校卒業後アメリカへ渡り、サンフランシスコ州立大学で映画製作を学んでいる。好きな女優はオードリー・ヘプバーンで高校のころに好きだったのはジャッキー・チェン映画、とはインタビューした際、ご本人からうかがった話。そして好きな監督はビリー・ワイルダーだそう。『失われた週末』(1945)『サンセット大通り』(1950)のようなシリアスな作品からアガサ・クリスティー・ミステリーの『情婦』(1957)。『七年目の浮気』(1955)『お熱いのがお好き』(1959)のようなコメディ映画、ほろりとやるせない『アパートの鍵貸します』(1960)、すてきにロマンティックな『昼下りの情事』(1957)…どんなジャンルでも観客の目も心も引き付けて楽しませることを忘れない職人肌の監督。

そんな内田監督好みのビリー・ワイルダー監督作品が26日に放送の『第十七捕虜収容所』(1953)。ワイルダーは監督賞候補だったが受賞したのはウィリアム・ホールデンの主演男優賞。彼は『サンセット大通り』にも主演してアカデミー主演男優賞の候補だったが、ついにこちらで受賞した。捕虜の一人で印象的な役どころを演じるピーター・グレイブスはTVの人気シリーズ『スパイ大作戦』のリーダー、「おはよう、フェルプス君」で有名なフェルプス役を演じていた。

『第十七捕虜収容所』の原作はブロードウェイの舞台劇。第2次大戦下のナチスの下士官用の捕虜収容所を舞台に、脱走者がたちまち見つかって射殺されたところから捕虜たちの中にナチス側に通じるスパイがいるのかもしれない、ということであぶりだし作戦が始まる。どう考えても地味な話だが、ちゃんと笑わせ所もあり、色っぽい描写が嫌いではないワイルダーらしい見所もあるのが楽しい。

【放送日時】
プレミアムシネマ「第十七捕虜収容所」
2月26日(火)[BSプレミアム]後1:00~3:02

『第十七捕虜収容所』(1953)

というようなことで傑作娯楽サスペンス『スピード』(1994)や香港で大人気だと言う松岡錠司監督の『映画「深夜食堂」』(2015)まで手が回らなくなったが、ぜひそのおもしろさを放送で確かめて!

【放送日時】

プレミアムシネマ『映画「深夜食堂」』
2月23日(土)[BSプレミアム]前0:15~2:16(金曜深夜)

プレミアムシネマ「スピード」
2月24日(日)[BSプレミアム]後1:00~2:57

『映画「深夜食堂」』(2015)/『スピード』(1994)

渡辺祥子

【コラム執筆者】渡辺祥子(わたなべ・さちこ)さん

共立女子大学文芸学部にて映画を中心とした芸術を専攻。卒業後は「映画ストーリー」編集部を経て、映画ライターに。現在フリーの映画評論家として、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等で活躍。映画関係者のインタビュー、取材なども多い。また映画にとどまらずブロードウェイの舞台やバレエなどにも造詣が深い。著書に「食欲的映画生活術」、「ハリウッド・スキャンダル」(共著)、「スクリーンの悪女」(監修)、「映画とたべもの」ほか。

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