天皇皇后両陛下の肖像画!制作現場に独占密着

BS1スペシャル「天皇・皇后の肖像画」

3月9日(土)[BS1]後8:00

昨年5月、ある一枚の絵がテレビ・新聞等で公表され話題となりました。それは、天皇皇后両陛下が即位されてから、初めて描かれた肖像画です。制作の様子は、完成まで一切、公にされてきませんでした。

NHKでは完成を目前とした最後の半年間、画家がどのような思いでこの肖像画に挑み、苦闘の日々を経て描き上げたのか、創作の日々に密着しました。また、知られざる両陛下と画家の心温まるエピソードもじっくりとご紹介します。

今回は、山下 茂プロデューサーに番組の見どころをたっぷりと伺ってきました。

 これまでの画家人生のすべてを賭けて挑む

──今回、画家の方に独占密着をすることになった経緯と、その方について教えてください。

今から2年前、「両陛下の肖像画を描いている画家がいるらしい」と耳にしたんです。宮内庁に確認すると、日本を代表する画家・野田弘志さんに制作を依頼しているということが分かり、2017年5月に撮影を開始しました。

野田さんは長年、写実絵画の第一人者としてご活躍で、両陛下とは30年にわたって親交を深められてきたそうです。ご自身は、とても実直な方。そんな方だからこそ、両陛下もご承諾されたのだと思います。

野田さんが肖像画を描くことになったのは、あるパーティーがきっかけだったと言います。本当に? とびっくりする経緯ですので、詳細はぜひ番組で(笑)。

画家・野田弘志さん

──実際に肖像画をご覧になっていかがでしたか?

野田さんが制作を開始したのは、2014年6月。3年半かけて完成した肖像画は縦横2メートルにも及ぶ大作で、両陛下とも、実際よりも大きく描かれています。初めて見たときは大きさもそうですが、絵そのものが放つオーラのようなものに圧倒されて、ちょっと後ずさりしてしまうような衝撃でしたね。

 絵を見る人すべてが、そこに存在を感じられるように描く

──野田さんの制作過程を取材されて、印象に残っているシーンを教えてください。

北海道の大自然に囲まれたアトリエで、朝から晩までキャンバスに向かっている姿ですね。取材当初の時点でもう十分に仕上がっているように思えたのですが、野田さんに聞くと「まだ6割でしかない」と。当初念頭に置いていた3年の期限が近づいてきても、野田さんは納得のいかない様子で制作を続けていたんですね。その飽くなき探求心や納得するまで描き切るという気持ちに心打たれました。

また、野田さんはいつも描く対象を写真に収めて、それを見ながら描くのですが、今回も両陛下の写真を、ときに拡大鏡で細かい部分もよく見ながら描いていました。

私たちが一番驚いたのが、油絵を描く際に使っている筆が、日本画で用いられる最も細い“面相筆めんそうふで”だったことなんです! あんなに細い筆で油絵を描くだけでも難しいのに、髪の毛1本、まつげ1本を緻密に表現するような作業がずっと続くんです。その葛藤の様子もぜひご注目いただければと思います。

野田さんはその細筆で、あるときは背景の色、またあるときは足元に少し見えるほどの空調設備まで何日もかけて塗っていました。「背景になぜそこまでこだわっているんですか?」と思わず聞いてしまったところ、野田さんいわく「両陛下のお姿だけ完璧に描けばいいというものではない。背景や足元など、絵全体が同じ密度で仕上がらないと、あたかもそこに、本当におふたりが立っているかのように見えないから」と。

そこに、リアリズム画家の神髄を見た気がしました。そんなふうに、私たちの想像をはるかに超えた制作の様子に密着していますので、じっくりとご覧いただければと思います。

──番組では、野田さんの思いにもふれられるとか。

歴代の天皇陛下の肖像画というのは崩御してから制作されることが多く、現存しているものは戦前までに描かれたもの、それも正装でおひとりの姿がほとんどです。今回、野田さんは両陛下に「普段、国民と会われているときの服装で描かせてほしい」と申し出ました。いつもご一緒に国民に寄り添われてこられた姿を100年、200年先まで残したいと思われたとのことです。

そして、この大役に「これまでのキャリアのすべてを捧げる覚悟で挑もうと決めた」と、おっしゃっています。そんな思いも、番組を通して伝えられたらいいなと思っています。

──最後に、番組を見てくださるみなさんへのメッセージをお願いします。

野田さんは絵を完成させたとき、「今の両陛下のお姿を描くことができて、本当によかった」と話されていました。若いころではなく、象徴としてこの平成の時代を生き抜いてこられた現在のお姿を、自分の手で1枚の絵の中に凝縮させることができたと実感したのだと思います。これから先、いつか「平成」という時代を振り返るときに、この絵の両陛下を思い出してほしい。そんな気持ちで描かれた野田さんの大作を、ぜひみなさんの目にも焼き付けていただきたいと思います。

番組の中で、野田さんのアトリエを友人である作家・加賀乙彦さんが訪れています。加賀さんがこの肖像画と初めて対面したときの第一声は……。その答えはぜひ番組でご確認ください!

取り上げた番組はこちらです!

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