名匠F・トリュフォーが描く大人の恋愛劇

終電車【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

5月16日(木)[BSプレミアム]後1:00

ナチス占領下のパリ。モンマルトル劇場の支配人で演出家のルカは、ユダヤ人だったため、迫害を逃れて身を隠していました。妻で女優のマリオンは、夫に代わって劇場を経営していますが、年下の俳優・ベルナールに次第に心ひかれていきます…。
今回ご紹介するのは、フランスの大女優・カトリーヌ・ドヌーヴ主演の傑作ドラマです。

フランソワ・トリュフォーがドヌーヴをイメージし作り上げた大人のドラマ

ミュージカル「シェルブールの雨傘」(1963)で世界的に注目されたカトリーヌ・ドヌーヴ。スレンダーで官能的、高い演技力で、数々の名匠の作品に出演、今も国際的に活躍しています。当時30代半ば、堂々たる美貌とプレゼンスは、まさに大女優の貫禄、2人の男性の間で揺れ動く思いを見事に演じています。

製作・監督・脚本はフランソワ・トリュフォー。「大人は判ってくれない」(1959)、「突然炎のごとく」(1961)など、フランス・ヌーベルバーグを代表する映画作家です。幼いころから熱狂的な映画ファンだったトリュフォーは、20代から評論家として活躍、フランスでは名作とされていた作品を鋭く批判する一方、アルフレッド・ヒッチコックやハワード・ホークスの作品を称賛して論議を呼びました。そして、仲間だったジャン・リュック・ゴダールやクロード・シャブロルたちとともに、敬愛する監督たちの手法を取り入れながらも、斬新で鮮烈な表現の作品を発表、その後の多くの映画作家に大きな影響を与えました。52歳で亡くなり、今年で没後35年になりますが、映画への愛にあふれた作品は、今も多くのシネフィルの心をとらえています。

恋愛サスペンス「暗くなるまでこの恋を」(1969)に出演し、一時期ドヌーヴと恋愛関係にあったトリュフォー監督は、最初からマリオンにドヌーヴをイメージし、自身の少年時代の記憶や、敬愛する劇作家・映画監督のサッシャ・ギトリ、ルイ・ジューヴェ、アレクサンドル・トローネといった映画人たちの戦時下のエピソードから脚本を作りあげたということです。

繊細で美しい色彩は、名撮影監督ネストール・アルメンドロス、ロマンチックな旋律は名作曲家ジョルジュ・ドルリュー、40年代のパリを再現したジャン・ピエール・コユツヴェルコの美術、共同脚本・助監督で相棒的存在のシュザンヌ・シフマン、トリュフォー監督が深く信頼する鉄壁のスタッフワークも光ります。

セザール賞・作品賞をはじめ10部門受賞、フランスではトリュフォー監督最大のヒット作となった大人のドラマ、じっくりお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「終電車」
5月16日(木)[BSプレミアム]後1:00〜3:13

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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