プロを目指す4人の男子たち、華麗な舞台の裏側

BS1スペシャル「バレエの王子になる!“世界最高峰”ロシア・バレエ学校の青春」

9月7日(土)[BS1]後10:00~11:50
※途中ニュース中断あり

BS1スペシャル「バレエの王子になる!“世界最高峰”ロシア・バレエ学校の青春」は、世界屈指の名門バレエ学校のロシア・ワガノワ・アカデミーを舞台に、世界中から集まった若手ダンサーたちがトッププロを夢見て、自らの限界に挑む舞台裏に密着! 青春の日々と華麗で繊細なロシアバレエの神髄を描いていきます。

実際にロシアへ出向き、密着取材を行った髙橋泰一ディレクターに話を聞きました!

 男子バレエの世界を見てみたい!

──なぜ男子バレエを取り上げることになったのでしょうか?

バレエは割と女性のイメージがありますが、男性のバレエの世界は一体どうなっているのか、その世界を見てみたいということからスタートしました。ロシアにおいてバレエは、芸術であり、市民の誇りであり、国民の象徴でもあります。その礎を作った方がアグリッピナ・ワガノワという女性です。そんな彼女の名を冠した、世界最高峰の名門バレエ学校「ワガノワ・バレエ・アカデミー」で学ぶ男子生徒たちに密着させていただくことになりました。

──ワガノワ・バレエ・アカデミーは、どんな生徒が通う学校なのですか?

基本は8年制なので、10歳で入学し、18歳で卒業する子が多いです。留学生の場合だとだいたい6年次に編入して3年間在籍し、ロシアのバレエ団のオーディションを受けるというルートが基本となっています。

大体一学年に60人程度ではじまり、半数ほどが進級試験などで脱落していくんですよ。技術はもちろんのこと、容姿も進級できない理由になります。どんなときもバレエを踊るにふさわしい美しい体型でいなければならない、ある種残酷な世界ですよね。でも、生徒たちがバレエ漬けの狭い世界で生きることになるからこそ、学校側はそぐわないと判断した子を早めにリタイヤさせて違う道を歩ませてあげる必要があると、今回の取材を通して知りました。

──現地での密着期間はどれぐらいですか?

今年の3月から6月の間で、実質30日ぐらいですね。というのも、この3か月に生徒たちにとって人生を左右する3つの出来事が重なっていて。ドキュメンタリーなので、若い彼らが人生を選択する瞬間を捉え、気持ちの変化を映していきたいと思いながら撮影しました。

──その3つの出来事の内容とは?

ひとつはプロダンサーになるための国家試験。ロシアではバレエダンサーは国家公務員のような位置づけなので、プロになるには国家試験を突破しなければなりません。二つ目はバレエ団のオーディションで、いわば就職試験ですね。そして三つ目がワガノワ・バレエ・アカデミーでの集大成となる、卒業公演です。それぞれ、本番やその舞台裏での様子などを撮らせていただきました。舞台上は美しくきれいな世界ですが、裏側ではどれだけの苦労や努力があるのか、舞台から降りてきた瞬間の息遣いも含めてお伝えします。

 個性豊かな4人の生徒をピックアップ

──番組では4人の生徒にスポットをあてているんですよね。

成績ナンバーワンで、校長であるニコライ・ツィスカリーゼ先生の秘蔵っ子のような存在であるミーシャ、名実ともにミーシャに次ぐナンバー2の成績を収めているマルコ、お母さんが日本人のアロン、そして優等生ではないものの、抜群の容姿を持っているキリルです。

左からミーシャ、マルコ、アロン、キリル

4人とも個性的で、例えばミーシャは天才肌の芸術家。僕自身、カメラをまわしていてもミーシャの美しい踊りに目を奪われてしまいました。また、アロンは背が高くなくて、高身長のミーシャやキリルの隣に並ぶとどうしても見劣りしてしまうんです。ですが、それをカバーすべく、ひたむきな努力を重ねていて心を打たれました。マルコはワガノワでの成績ナンバー2でありながら、バレエ団のオーディションでは一転、苦戦を強いられてしまいます。彼の気持ちとの向き合い方、そして再びオーディションに挑んでいく様子もご注目ください。
最後にキリルは、モデルのアルバイトをしているぐらい美しく、スタイルにも恵まれた男の子です。その一方、学校での成績は悪く、校長からも怒鳴られっぱなし。おまけに大事な国家試験の日は体調を崩してしまいます。そんなキリルが試験を経て、どんな選択をするのか。見届けていただければと思います。

──取材中、苦労したことは?

実はバレエの世界って、すごく情報を得づらいんです。本当に全然教えてもらえなくて。ましてやオーディションの様子なんて絶対に撮らせてもらえない。そんななか様々なシチュエーションを撮ることができたのは、ロシア人コーディネーターと、何よりも生徒たちの協力があったからでした。

男子生徒は、みんな本当に良い子たちで仲も良く、ライバル関係で火花を散らす!みたいなものもないんですよね。アロンとマルコは寮が同室なのですが、アロンに「卒業公演の初日の主役を取りたい?」と聞いてみたら「僕は踊れるだけで満足だから」と語っていたんです。そのあとマルコに同じ質問をしてみたら、まったく同じ回答が返ってきてびっくりしました。加えて「僕たちずっと一緒だからつながっているんだ」なんて話していましたよ。

 厳しさのなかに、美しさや愛がある

──取材クルーは何人ぐらいだったのですか?

僕のほかはカメラマンとロシア人の通訳さんという、最小限です。基本は現場に触らないというか、前もって「こうしよう!」とかは決めずに、その場にいさせてもらって、もし怒られたら出ていこうというスタンスで臨みました。

もちろん、彼らの一番大事な時期にカメラを向けるわけですから、細心の注意を払いました。校長はとても厳格で超スパルタですが、メディアにも理解がある方で「バレエは人に見られる職業なんだから、こんなカメラでナーバスになるようじゃだめだ」と生徒たちに言っていましたね。撮影は、授業の様子を定点カメラで収録することからはじめ、そこから少しずつ校長や生徒たちと距離を縮めていきました。ロシア独特の「芸術の邪魔にならないんだったらいいよ」という段階に行くまでが、精神的にキツかったですね。

とても厳しいけれど、愛をもって生徒たちに指導する校長

──約30日に及ぶ取材期間中、特に印象に残ったシーンや言葉を教えてください。

生徒たちも校長も毎日が“マジ”なんですよ。これまで撮ってきた番組でもカメラが入ると取材の対象者がちょっとリップサービスしたり、カメラに見せるための表情を浮かべたりなんていうことはあったんです。
ですが、今回はそういうのがまったくありませんでした。ただ、学校で取材できる日数はあらかじめ決められているなか、校長が生徒たちにすごく怒っているから話しかけにくい。撮れ高が厳しいなぁ…なんて困ってしまった日はありました(苦笑)。

心に残ったのは、試験直前にこれまでとても厳しく怖かった校長が「僕が君たちのことを愛していることを知っておいてね」と生徒たちを送り出したところ。厳しさのなかに美しさや愛がある、ロシアバレエの神髄のようなものを感じましたね。

──最後に、みどころとメッセージをお願いします!

ドキュメンタリーを制作するにあたり、僕は自分が感動できないことは番組にできないと思っています。性格もまっすぐではなく(笑)、わりと批判的観点から物事を見ていくタイプなんです。実はバレエはまったくの素人なのですが、実際に取材してみたことで、「この子たちはとても美しいな」と素直に感じ入りました。校長は「ダンサーは舞台で美しく輝く泡しか見せてはいけない。泡のなかには、血と汗と涙が浮かぶ」「努力しないと踊り続けられない」と語っており、この言葉に全てが集約されていると思います。バレエに興味がある方やお好きな方はもちろんのこと、今まで関心がなかった方も「この子かっこいい!私だったら推しメンはこの子だな」なんて軽い気持ちで、ひとつの青春物語として、ご覧いただけたらうれしいです。

卒業公演

ナレーションは女優・原田美枝子さんが担当します。
生徒たちの人生をかけた3か月間、いったいどんな戦いの日々だったのか。お楽しみに!

BS1スペシャル「バレエの王子になる!“世界最高峰”ロシア・バレエ学校の青春」

【放送予定】9月7日(土)[BS1]後10:00~11:50
※途中ニュース中断あり

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