世界的ベストセラーとなった恋愛小説を映画化
切なく美しい大人のラブストーリー

マディソン郡の橋【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

10月10日(木)[BSプレミアム]後1:00

緑が広がるアイオワ州マディソン郡。農場を営む夫と2人の子どもと暮らすフランチェスカは、家族が子牛の品評会にでかけ、一人の留守中、地元の橋を撮影するため旅をしているカメラマンのキンケイドと出会います。2人はひかれあい、心ときめきますが…。
今回ご紹介するのは、日本でも大きな話題になり、世界的ベストセラーとなった恋愛小説を映画化した作品です。

大女優メリル・ストリープ 役作りで体重を増やし、なまりをマスター

ロバート・ジェームズ・ウォーラーの小説の映画化権を取得したのはスティーブン・スピルバーグの製作会社で、クリント・イーストウッドがキンケイドを演じることが早い段階で決まっていたということです。当時60代前半、「許されざる者」(1992)でアカデミー作品賞・監督賞を受賞、映画作家としても揺るぎない地位を確立していたイーストウッドは、誠実で繊細、孤独なキンケイドを若々しく演じています。

映画では、フランチェスカの視点から物語が語られます。演じるのは、イーストウッドが強く推薦したというメリル・ストリープ。3度のアカデミー賞に輝く大女優です。音感にすぐれ、どんなアクセントでも習得してしまうというストリープは、オランダ系で、イーストウッドとは実年齢で20歳近く年下ですが、体重を増やし、なまりをマスターしてイタリア系のフランチェスカを演じています。

入念なリサーチで役作りをするストリープは、ともするとリハーサルでOKという早撮りが基本のイーストウッドの演出に当初は戸惑ったということですが、相性は抜群。夫や子どもと穏やかに暮らし、何の不満もないはずなのに、家事や子育て、日々の生活に追われ、自分を見失っていたフランチェスカが、キンケイドと出会い、初めて身を焦がすような恋に落ちながらも、家族への愛情とのはざまで揺れる思いを見事に表現し、アカデミー主演女優賞にノミネートされました。

イーストウッド監督といえば、ジャズへの深い愛情と造詣の深さで知られていますが、この作品でも、音楽がロマンチックに寄り添います。ダイナ・ワシントン、ジョニー・ハートマンのしっとりとしたボーカル、名ピアニスト・アーマッド・ジャマルの美しい旋律、イーストウッドならではの抜群のセンスが光ります。音楽にも、ぜひご注目いただきたいと思います。

まるで子犬のようにぬれそぼつイーストウッドをとらえたクライマックスは、画面も泣いているかのような情感にあふれています。切なく美しい大人のラブストーリーをご堪能ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「マディソン郡の橋」
10月10日(木)[BSプレミアム]後1:00〜3:16

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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