さまざまなジャンルのドキュメンタリーを紹介する「ストーリーズ」。
12月16日の放送は、人気シリーズ「のぞき見ドキュメント 100カメ」の“阪神タイガース・ファン”編が登場します。
100台のカメラを駆使して、今年の8月31日に甲子園球場で行われた「阪神×巨人」戦を見るタイガース・ファンの生態を観察!
果たして、どんなドラマが垣間見えるのでしょうか……?
今回は、制作に携わった伊藤道大ディレクターに、企画意図や撮影秘話、番組のみどころなどを聞きました!
“伝統の一戦”に一喜一憂
──今回の“100カメ”のテーマは”阪神タイガースのファン”、そもそもそこに着眼したきっかけは?
私自身が小学・中学と子どもの頃から野球をやっていたことと、去年から大阪に住み始めたことが大きいですね。せっかくだから、大阪らしさみたいなものを紹介したいと思って。そういう意味では、関西の方々にとってプロ野球の阪神対巨人戦は、やはり“伝統の一戦”。きっと特別な意味を持つだろうと。それに、野球はプレイボールからゲームセットまでという明確な時間の軸があるので、ゲームの展開に沿っていろんな表情が見られるようにも思ったんです。
──ファンをのぞき見するために、どんなところにカメラを設置したんですか?
取材を行ったのは、今年の8月31日に甲子園球場で行われた「阪神×巨人」戦。その試合が始まる夕方6時前から試合が終わるまでの6、7時間ぐらいを撮影しました。これまでの100カメは、ひとつの場所に100台のカメラを設置して撮影するというスタイルでしたが、今回は甲子園球場を含めて12か所ぐらいの、さまざまな場所に合計100台のカメラを設置したんです。
まず、球場では6人のファンの方にカメラを持ってもらいました。あとは、甲子園のお膝元である尼崎市商店街の居酒屋さんやラーメン屋さん、その他にもおもちゃ屋さん、質屋さん、タクシーの中など、いろんな場所で同じ試合を見ているファンの姿を撮ることができました。
──甲子園球場以外にもカメラを! 複数の場所にカメラを設置したことで新しい発見はありましたか?
例えばヒットを打った、誰かがエラーしたという場面一つとっても、球場だと仲間と応援しながら、お店では食事をしながら、または、どこかの家庭の場合は少年野球をやっている子どもが親と話しながらと、場所によって皆さん楽しみ方が全然違うんです。全く別の場所にいる人たちが同じプレーをどう見ているかを同時に観察できるというのが、どこかドラマっぽいと言いますか。
撮影当日は阪神で長年活躍してきた、あるスター選手が今シーズン限りで退団するというニュースが飛び出したので、反応を複数の視点で捉えられるという作り方も、これまでのNHKのドキュメンタリーにはあまりなかったタイプ。カット数が増えて編集が大変だったりしましたけど(笑)、おもしろいチャレンジができたんじゃないかなと思っています。

“タイガース愛”が強いファンの姿に注目
──100台のカメラで密着して気付いたタイガース・ファンの魅力は?
興味深いことに、皆さん、ヤジにも笑いを入れようとするんです。選手の名前をうまくもじったりして。こういうヤジの飛ばし方があるんだって勉強になりました(笑)。それに、周りの観客を巻き込んでいくパワーがすごい。初対面の人でも同じタイガース・ファンということですぐ仲良くなるし、点数が入ったらハイタッチをしながら喜びを共有する。あの独特の連帯感のようなものにはうらやましさを感じましたね。
これはタイガース・ファンというより、関西の方たちに共通していることなのかもしれませんが、大人も子どもも会話のテンポが早いし、その中に必ず笑いを混ぜる。誰もが芸人さんみたいにおもしろいんです(笑)。今回の企画は、東京だったら成立しなかったかもしれないなと思いました。

──では、最後に番組のみどころをお願いします!
「阪神×巨人」戦というプロ野球の試合を、性別も年代も超えた人たちがいろいろな場所で同時に楽しみながら応援している姿は、きっと見ていて飽きないと思います。チームを一生懸命応援しているファンの姿を見ていると元気になれます。おなじみの「六甲おろし」を聞いているだけでパワーが出ると思うので、年末のこの時期、この番組で2020年も頑張ろうと思ってもらえたらうれしいです。
番組には、阪神タイガース・ファンにはおなじみの“名物ファン”も登場!
ぜひオンエアでチェックしてください!
ストーリーズ
「のぞき見ドキュメント 100カメ 阪神タイガース・ファン」
【放送予定】12月16日(月)[総合]後10:50