ユダヤ人に救いの手を差し伸べた男...
実話に基づいた傑作

シンドラーのリスト【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

2月24日(月・振休)[BSプレミアム]後1:00

 

第2次大戦下、ナチス・ドイツ占領下のポーランド。ドイツ人の実業家、オスカー・シンドラーは、迫害されるユダヤ人を自身の工場に雇用し、事業を成功させます。しかし、ユダヤ人が居住地から収容所に送られ、虐殺されていくのを知ったシンドラーは、全財産を投じて命を救おうとします…。今回ご紹介するのは、アカデミー作品賞はじめ7部門を受賞した名作です。

構想10年。凄惨せいさんな歴史を描く、映像表現の「技」

監督はスティーブン・スピルバーグ。今年74歳、世界的な大ヒット作「ジョーズ」(1975)から45年、アメリカを代表する映画監督として、野心的な作品を次々発表しています。自身がユダヤ系であるスピルバーグ監督は、この題材を演出できると思えるまで、10年近くも構想を練ったということです。

実話に基づいたこの作品、イギリスの名優が印象的です。シンドラーを演じるのはリーアム・ニーソン。長身で低い声が印象的、プレーボーイで目的のためにはワイロも送る、バイタリティーあふれるシンドラーを魅力的に演じています。スピルバーグ監督は、父親のように慕っていた映画会社の会長、スティーブ・ロスをイメージして演出したということで、エンドクレジットでは、アメリカ公開の前年、92年に亡くなったロスへの献辞がささげられています。

冷酷な収容所の所長、アーモン・ゲートを抜群の存在感で演じるのはレイフ・ファインズ。さらに「ガンジー」(1982)でアカデミー賞を受賞した名優ベン・キングズレーが、シンドラーを支えるユダヤ人会計士を演じています。

スピルバーグ監督はあえてモノクロ映像を使い、まるでドキュメンタリーのような迫力で背筋も凍るような虐殺の場面を作りあげています。シンドラーが高台からユダヤ人たちが追いやられ、殺される様子を見ているシーンでは、一人の少女のコートだけがカラーで表現され、エモーションをかきたてられますが、これは敬愛する黒澤明監督の「天国と地獄」(1963)へのオマージュのように感じられます。撮影をてがけたヤヌス・カミンスキーは自由かったつで的確なカメラワークと照明、とりわけ黒の映像表現にたけ、この作品以降すべてのスピルバーグ監督作に参加、なくてはならない相棒となっています。そして音楽は名コンビ、ジョン・ウィリアムズ。イスラエル出身の名バイオリニスト、イツァーク・パールマンの哀切なメロディーも印象的です。

人間の悪とは、そして善とは。スピルバーグ監督が全身全霊をこめた名作、じっくりご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「シンドラーのリスト」
2月24日(月・振休)[BSプレミアム]後1:00〜4:17

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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