元闘牛士の監督が手がけた西部劇!?

七人の無頼漢【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

3月6日(金)[BSプレミアム]後1:00

クリント・イーストウッド、クエンティン・タランティーノ、マーティン・スコセッシ、フランスのジャン・リュック・ゴダール…、世界的な映画作家から深く尊敬されているのがアメリカのバッド・ベティカー監督。今回放送するのは、その代表作、数ある西部劇のなかでも傑作中の傑作とされる作品です。

巧みなストーリーテリング…構図や編集の見事な演出が魅力

ベティカー監督は1916年生まれ。メキシコで闘牛士をしていたというユニークな経歴で、闘牛の映画の技術指導として映画界に入ったということです。監督作は40本余り、西部劇、ギャング映画などさまざまな活劇を手がけました。

この作品、ベティカー監督は、ほろ馬車の夫婦と同行することになった男が、元保安官のストライドで、愛する妻を殺した男たちを追っていることが次第にわかってくるという、巧みなストーリーテリングで物語を語っていきます。
そして、構図や編集の見事な演出。冒頭、降りしきる雨の夜、岩の下で休んでいる2人の男のところへ、ずぶぬれになった男がやってきます。腰を下ろし、たき火を囲み、コーヒーを飲みながら互いを探るように話す男たち。そこで…! 撃ち合いが始まるまでのただならぬ緊張感は、映画ならではの魅力です。

ストライドを演じるのはランドルフ・スコット。1898年生まれ、100本以上の映画に出演、最後の映画となったサム・ペキンパー監督の「昼下りの決斗」(1962)まで、とりわけ西部劇の大スターとして活躍しました。当時は50代後半ですが、背筋の伸びた長身とクールな表情、鮮やかなガンさばきは、まさに西部の男を体現しています。共演者、不敵な表情でおしゃべりのリー・マービン、ヒロインを演じる、青い目が印象的なゲイル・ラッセルもすばらしい存在感です。

スコットとベティカー監督は、この作品を含め“ラナウン・サイクル”ともよばれる7本の西部劇を発表、いずれも映画のだいご味にあふれた名作ばかりです。

映画を製作したのは、ジョン・ウェインが設立したバトジャック・プロで、ウェインが主演の予定でしたが、スケジュールがあわず、スコットの主演となりました。製作のロバート・E・モリソンはウェインの弟、アンドリュー・V・マクラグレンは、数々のジョン・フォード作品に出演したビクターの息子で、のちに監督となり数々のウェインの西部劇を手がけています。クレジットはありませんが、ウェイン自身も製作に携わったということです。

無類のおもしろさの傑作西部劇をご堪能ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「七人の無頼漢」
3月6日(金)[BSプレミアム]後1:00〜2:19

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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