突然、人間を鳥たちが襲いはじめた…
理由なき襲来の恐怖が押し寄せる

鳥【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

1月27日(水)[BSプレミアム]後1:00

突然、鳥に襲われ、なすすべもなく逃げ回る人間たち…。
今回ご紹介するのは、理由なき襲来の恐怖を極限まで描く巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の傑作パニック・スリラーです。

前作「サイコ」(1960)が驚異的な大ヒット、ホストを務めるテレビドラマも高い人気を得て、すっかり有名人となったヒッチコック監督は「レベッカ」(1940)の原作者ダフネ・デュ・モーリアの短編小説の映画化をすすめます。ヒッチコック監督の意向で、原作を大幅にアレンジした脚本を執筆したのはエバン・ハンター。エド・マクベイン名義の警察小説「87分署」シリーズなどで知られる作家です。物語は、サンフランシスコの大きなペットショップで、はねっかえりのお嬢様メラニーと弁護士ミッチとのやりとりを丁寧に描き、まるでロマンチック・コメディーのようにはじまります。

スレンダーでクールな、ヒッチコック映画の典型ともいえる美女メラニーを演じるのはティッピ・ヘドレン。精かんで自信にあふれるミッチを演じるのは、SF映画や戦争映画でも活躍したロッド・テイラーです。神経質そうなミッチの母を細やかな感情表現で演じるのは名優ジェシカ・タンディ。ミッチの妹を演じるベロニカ・カートライトはイギリス出身で子どものころから数々の映画に出演、大人になってからはフィリップ・カウフマン監督の「SF/ボディ・スナッチャー」(1978)やリドリー・スコット監督の「エイリアン」(1979)と傑作ホラーに出演しています。カウフマン監督もスコット監督も、カートライトがこの映画で重要な人物を演じていたことを意識していたのだと思います。

ヒッチコック監督は、当時の最新技術を駆使して鳥の襲撃を演出しています。映画史上あまりにも有名な、ジャングル・ジムにカラスの大群が集まる場面など、映画を知り尽くした演出は何度見ても圧倒されます。
特殊効果アドバイザーとして参加したのはアブ・アイワークス。ディズニーのアニメーターとして活躍し、ミッキーマウスの生みの親の一人として知られています。世にも恐ろしいこの映画と世界中で愛されるキャラクター、同じ人が手がけているのは、おもしろいですよね。

音楽はヒッチコックとは名コンビだったバーナード・ハーマン。この作品では、鳥の鳴き声をはじめ、さまざまな音響効果を作りあげ、恐怖をもりあげています。
黙示録的な場面で幕を閉じる、怪物のような戦慄の作品。ヒッチコック監督の恐ろしさを改めてご堪能いただきたいと思います。

プレミアムシネマ「鳥」

1月27日(水)[BSプレミアム]後1:00〜3:00


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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