これまでの街歩き

ストラスブール/ フランス

2010年8月8日(日) 初回放送

語り:桂 文珍

撮影時期:2010年6月

世界地図

地図

場所

フランス北東部、アルザス地域圏の首府が置かれているストラスブール。ストラスブールとは「街道の街」を意味します。街の中心はライン川の支流であるイル川の中州に築かれています。交通の要衝として、ローマ帝国の時代から栄えてきました。しかし、ドイツとの国境に位置するという地理的特徴から、フランスとドイツの間で領土争いが繰り返され、何度も“国籍”が変わるという波乱の歴史を歩んできた街でもあります。
1988年、ストラスブールの旧市街はユネスコの世界文化遺産に登録されました。

Information

欧州議会

ストラスブールに、EU(欧州連合)の議会があるのをご存知ですか?川沿いにある本会議場は現代的な美しいデザインで街の見どころのひとつになっています。
ライン川を挟んでドイツとの国境に接しているストラスブールを含むアルザス地方は、かつて石炭や鉄鉱石などの豊富な資源をめぐり、フランスとドイツの間で領有権争いが繰り返されました。ストラスブールは、19世紀以降だけで4回も“国籍”が変わっています。そんな波乱の運命をたどったストラスブールですが第二次世界大戦後、フランスとドイツの歴史的な和解の舞台となりました。そこで、ヨーロッパ統合にむけた象徴的な存在となり、EUの発足とともに欧州議会が置かれることになったのです。
欧州議会では、ヨーロッパ市民を代表する700人以上の議員がさまざまな議題について話し合っています。ヨーロッパの平和と統合のシンボルである欧州議会がストラスブールにあることを忘れないでくださいね。

大聖堂の伝説

街のシンボルはなんといっても大聖堂。12世紀後半の着工から大工事の末、1439年に完成。この地方特産の、バラ色の砂岩の繊細で華麗な彫刻で飾られており、ゴシック様式の傑作とも言われています。
この大聖堂には、いくつか不思議な言い伝えがあります。そのひとつ。大聖堂の中に小さな犬が寝そべっている像がありますが、その犬の頭をなでると、なぜか再び大聖堂を訪れることになる…という伝説。また、大きな天井を1本の柱だけで支えている通称「天使の柱」にまつわる伝説も。柱一本で支えられるわけがないと言った男に天罰が下り、男は今も天井が落ちないように大聖堂のあるところから柱を見張らされているというもの…。そして、20世紀初頭におとずれた大聖堂倒壊の危機を救ったドイツ人の建築家ヨハネス・クナウト。彼は功績がたたえられ、柱の根元に彼の像が作られたのですが、その像を柱から取り外すと大聖堂は崩壊するという伝説…などなど。
ストラスブールにお越しの際は、大聖堂で伝説探しもいかが?

クリスマスとアルザス

ストラスブールから南に30km、同じアルザス地方のセレスタという街に、クリスマスツリーに関する記述がある世界最古の文献が残っています。1521年の市の帳簿には、そのころすでにモミの木がクリスマスツリーとして売られていたということを示す記載があるのです。クリスマスツリーは、フランスとドイツにまたがるアルザス地方が発祥の地と言われているそう。文献によると、昔のツリーはモミの木に飾りは赤いリンゴのみ、というとてもシンプルなもの。赤いリンゴは、生命の象徴でした。また、冬でも青々しさを失わないモミの木は、神や精霊が宿ると信じられていたのでした。木には春への期待と豊穣(ほうじょう)の願いが込められていたんです。
また、ストラスブールのクリスマスもお忘れなく。毎年大きなマルシェ(市)が開かれ、街中がきれいなイルミネーションで飾られます。クレベール広場には、巨大なモミの木のクリスマスツリーが置かれ、世界中から人々が集まります。特別なストラスブールが楽しめますよ。

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