これまでの街歩き

アルプスが見える街Ⅳ
インスブルック/ オーストリア

2010年9月26日(日) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2010年6月

世界地図

地図

場所

ヨーロッパアルプス最大の古都インスブルック。オーストリア西部に位置するチロル州の州都です。人口はおよそ11万7000。インスブルックという地名の由来は、「イン川に架かる橋」。スイスアルプスに水源を持つイン川の両岸で、古くから交通の要衝としての役割を担ってきました。
インスブルックが飛躍的に発展したのは15世紀末。ハプスブルク家出身の神聖ローマ皇帝、マクシミリアン1世がこの地に都を移したことから始まります。さらに18世紀、マリア・テレジアの時代にも、政治、経済、芸術の中心地として栄え、現在でも旧市街にゴシック様式やロココ調の建築が並び、帝国の栄華の面影を色濃く残しています。
2000mを超える山々に囲まれたインスブルックは、1964年と1976年の冬季オリンピック開催地としても有名です。スキーやトレッキングなど、さまざまなマウンテン・アクティビティを楽しむために、一年を通して多くの人がインスブルックを訪れます。

Information

ノルトケッテ連峰

インスブルックの街の中心にある宇宙船のような建造物。これは、2007年に開通した最新のケーブルカー乗り場。ケーブルカーは旧市街の王宮に近いコングレスハウス前駅から出発し「北の鎖」という意味のノルトケッテ連峰へ向かいます。
途中の駅にはヨーロッパで最も標高が高い動物園があります。山の斜面を巧みに利用し、野生ではすでに絶滅してしまった貴重なものを含むアルプスの150種以上の動物が飼育されています。
標高1905mのゼーグルーベ駅は、インスブルックの市街やアルプスの山並みを一望できる必見のポイント。展望台ではものたりない人には、地上2000mを飛んでいる気分が味わえる“宙づりアトラクション”もありますよ。さらに上れば、標高2334mの終点、ハーフェレーカー駅に到着。天気が良ければ、イタリア国境のブレンナー峠まで望むことができます。

ワルツ発祥

インスブルックは「舞踏会の街」と呼ばれるほどダンスが盛んです。毎年1月に行われる舞踏会では4000人もの若者がデビュー。街のダンス教室では、舞踏会に向けて、大勢の生徒が練習しています。
なかでも欠かせないのが、ワルツ。ワルツは、13世紀ごろにチロルの農村で踊られたダンスが起源です。このダンスは男女が体を接して踊るため、ハプスブルク帝国時代には不謹慎だと、長年禁止されていました。しかし、しだいにインスブルックの市民の間で人気が高まり、その後、上品にアレンジされ、ワルツへと姿を変えたといわれています。あまりの人気に、やがてワルツは帝国全土で解禁されたのでした。国際的な場に初めてワルツが登場したのは1814年。「会議は踊る、されど進まず」で有名なウィーン会議でのことで、これを機に、ウィンナーワルツとして世界に広まりました。アルプスの人々に長い間愛され、守られてきたからこそ、今日のワルツがあるのです。

氷河スキー場

インスブルックには、一年を通じてスキーを楽しむことができる氷河スキー場があります。
なかでも最も高いところにあるのが、ヒンタートゥクス氷河スキー場。ロープウエーで標高3250mのゲレンデまで行くと、その景色に圧倒されます。オーストリアやドイツの山々が360度広がる絶景。そんなゲレンデに、プロスキーチームから初心者までが、夏でも滑りに訪れています。
氷河スキー場というその名の通り、ゲレンデの下は、氷河になっています。これが、一年中スキーを楽しめる秘密。ヒンタートゥクスには、ゲレンデの地下20mで偶然発見された氷河の洞くつもあり、大きな氷の結晶に囲まれて、ひんやりと冷たい幻想的な世界が広がります。一年365日、氷河とスキーを一度に体験できる魅力的なスキー場です。

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