2014年2月11日(火) 初回放送
語り:富田靖子
撮影時期:2013年10月
イギリス北西部、大マンチェスターという地域の中心地であるマンチェスターは、人口およそ50万。イギリス有数の大商工業都市として有名です。
14世紀から羊毛工業が行われ、産業革命をきっかけに世界の綿工業地帯の中心として大きく発展。「綿の都市」として知られるようになりました。街には、産業革命時代に使われた綿を製造する紡績工場や倉庫跡が数多く残っています。現在、その多くは住宅やオフィスに改築され、再利用されています。
かつての産業は衰退しましたが、今は「オアシス」や「ザ・スミス」などの有名な音楽グループを輩出したり、「マンチェスター・ユナイテッド」など世界的なサッカーチームがあることで知られています。
マンチェスターは、サッカーが盛んなことで有名な街です。サッカーが人気になった理由は、この街の歴史と関係があります。産業革命時代、世界の綿工業の中心だったマンチェスターでは、物資を運ぶ手段として鉄道が大きく発達しました。周辺都市に向けて多くの鉄道が開通し、街の経済を後押ししていました。そんな中、鉄道労働者の余暇として人気を集めていたのがサッカーでした。この街を代表するサッカーチーム「マンチェスター・ユナイテッド」は、もともとは鉄道労働者たちが作ったアマチュアチームだったのです。地元のヒーローである選手たちを、街の人々が家族や友人と応援しに行くようになり、次第にサッカーは庶民の娯楽として親しまれるようになったのです。
街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!
今回は、マンチェスターのファッションデザイナー、ルーシーさんにお気に入りの3品を紹介してもらいます。
ステーキ・アンド・エールパイ
イギリスの定番料理の一つ。牛肉と地元のエールビールを入れてじっくりと煮込みます。パイ生地に煮込んだ具を入れて、オーブンで40分焼いたら完成です。お好みで、グレービーソースをかけていただきます。家庭の味、ぜひお試しください。
マンチェスタータルト
マンチェスターっ子に人気のおやつ。焼いたパイ生地に、ラズベリーのピューレとカスタードをたっぷりのせます。そこにローストしたココナツをまぶし、砂糖漬けのチェリーをのせ、最後に砂糖のペーストをかけます。カスタードの甘さとラズベリーの酸っぱさの組み合わせが絶妙です。
マンチェスターエッグ
イギリス中部地方の名産であるソーセージ、ブラックプディングを使った一品。ブラックプディングと豚のひき肉を混ぜたものを、酢漬けにした卵のまわりにつけます。溶き卵とパン粉をつけて揚げたら出来上がり。卵の酸味とブラックプディングの濃厚な味が溶け合い、やみつきの味!
街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!
マンチェスターの中心部から電車でおよそ30分の場所にある街、ベリー。ここには、今も蒸気機関車が走るイーストランカシャー鉄道があります。開通は1844年。1980年に一度は廃止されましたが、その7年後、「街の勇姿を残したい」という地域住民と街の支援によって、保存鉄道として再開されました。予算が少ないため、実際の運行は600人以上のボランティアによって行われています。
ピカピカに磨かれた蒸気機関車、とても大切にされていることが分かります。ボランティアの人たちに声をかけると、鉄道好きが高じて17歳からボランティアをしている若者や、駅のホームで列車の番号をメモするのが趣味だった車掌さんなど、鉄道好きが集まっていました。時代を超えて愛される蒸気機関車は、彼らのような人々に支えられ、次の世代へと受け継がれていくんでしょうね。