2015年6月23日(火) 初回放送
語り:八嶋智人
撮影時期:2015年4月
ドイツ中南部、マイン川沿いの都市ヴュルツブルク。フランケン地方の中心都市として行政や経済、文化の中枢を担っています。ヴュルツブルク大学はドイツでも2番目に歴史があり、シーボルトやレントゲンを輩出したことで有名です。ドイツだけでなく世界中から留学生が訪れるので、学生の街として知られます。
古くからマイン川を利用した水運の要所であったこの地に、キリスト教がもたらされたのは7世紀。その後キリスト教の歴代大司教がこの街を治めたことで発展してゆき、豊かな文化を築いてきました。大学に関連した研究機関や医療機関も数多く、医療関連の企業はヴュルツブルクの主要な産業として街を支えています。
赤レンガ屋根の美しい街並が見どころのヴュルツブルク。かつてマイン川の交通の要所であった街が発展したのは7世紀、アイルランド人宣教師がキリスト教を布教したことがきっかけでした。それから、この地はキリスト教の大司教が治める地域として栄え、学問や文化の振興にも力を注ぎます。
18世紀には当時の技術の粋を集めた荘厳な司教邸、レジデンツを建設。ヴュルツブルクの文化が豊かに花開いた時代でした。しかし1945年、第二次世界大戦の中に空襲を受け、街の90パーセントが破壊されます。
以前の美しい街を取り戻したいと立ち上がった市民たちは、ボランティアで教会や市庁舎など街のシンボルを再建していったのです。いまある美しい街並は、市民の街への愛情があってこそのものなのです。
街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!
ヴュルツブルクで暮らす仲良しカップル、クリスさんとグレースさんが、二人で食べれば幸せになれるあつあつグルメをご紹介します。
鯉(こい)のフライ
鯉に衣をつけ、丸ごとカラッと黄金色になるまで揚げた一品。卵と小麦粉でサクサクとした衣に、レモンを一絞り。香ばしい風味と素材の味をいかした、シンプルな魚料理です。大きなフライを切り分けて、仲良く召し上がれ。おっと、小骨には気をつけて。
子牛のクリームソース煮
この地方では結婚式の披露宴で食べられる料理。クリームと西洋ワサビを合わせた特製ソースで、子牛のもも肉をソテー。添えられたクランベリージャムの酸味がおいしさを引き出します。二人で食べれば仲が深まる一品です。
ブラート・ブルスト
マルクト広場で行列ができる、人気のブラート・ブルスト屋さん。隠し味にフランケンワインを使った、焼きたてあつあつのソーセージとピリ辛マスタードの相性は抜群。ながーいソーセージを二つ折りにしてパンに挟むのでボリューム満点です。白パンと一緒に思いっきり頬張っちゃいましょう!
街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!
ヴュルツブルク旧市街からバスで30分、ゾンマーハウゼンへ。ゲーテが愛したというフランケンワインの名産地。そのおいしさの秘密ってなんだろう?
中世の趣を感じる街並みの中、詳しそうな人を探していると、日なたぼっこをしているおじいちゃんおばあちゃんと出会いました。さっそくワインについて聞くと「もう年だから飲まないのよ」と、手がかりがつかめません。
ならばぶどうを育てているところへ。急勾配の坂を登り、やっとの思いでブドウ畑にたどり着きます。眼下に広がるブドウ畑と美しい街…でもブドウの木はまだ葉もなく、辺りで農作業をする人も見つからない。
またもや空振り、と街中へもどると、ワインを飲む人たちを発見。なんと、ワイナリーの人で、製造している内部を案内してもらえることになりました。ずらりと並んだワインのタンクには温度管理や日々の記録が細かく記してあり、生産者のこだわりを感じます。さらに、おいしさの秘密は、水はけが良い石灰質の土壌にあるのだとか。
ついにたどり着いたワインの熟成庫、生産者の愛情がいっぱいつまった年代もののフランケンワインをいただきます!