これまでの街歩き

トリニダー/ キューバ

2016年2月16日(火) 初回放送

語り:永作博美

撮影時期:2015年11月

世界地図

地図

場所

 トリニダーはキューバの首都ハバナから車で約5時間、東西にのびる島の中央南部に位置します。広さ2キロメートル四方ほど。街の中心のマヨール広場の周りには、18世紀に建てられた豪邸が立ち並び、石畳が広がっています。
 金鉱を探しあてようとやってきたスペイン人によって街が建設されたのは1514年。トリニダーはキューバに最初につくられた7つの植民地のうちのひとつでした。結局、周辺に金脈は発見されませんでしたが、近郊のロス・インヘニオス渓谷につくられたサトウキビ農園と製糖工場が、街に巨万の富をもたらすことになったのです。
 砂糖と奴隷の貿易でキューバ有数の大都市へと発展したトリニダー。当時の面影が残る街並みとロス・インヘニオス渓谷に残された製糖産業の史跡は、街の重要な観光資源です。

Information

トリニダーの歴史

 かつてサトウキビの貿易で繁栄したトリニダー。その歴史は、スペイン人のディエゴ・ベラスケスがサトウキビを持ち込んだ16世紀に遡ります。温暖な気候と豊かな土壌に恵まれたトリニダー近郊はサトウキビがよく育ったため、大規模なサトウキビ農園が次々とつくられました。巨万の富を得た大農園主たちは競って街の中心に邸宅を建て、ぜいたくな暮らしを送っていました。
 しかし、サトウキビ貿易はアフリカから連れて来られた奴隷たちによって支えられていたため、19世紀に奴隷制度が廃止されると、サトウキビ産業は衰退。その後、街が大きく発展することはなかったので、繁栄の時代の街並がそのまま残され、「時計が止まった街」と呼ばれるようになりました。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

トリニダーやその周辺を馬でガイドするホルヘさん。愛馬パハリートと共に、とっておきのグルメを紹介します!

プエルコ・アサド

トリニダーっ子のごちそうと言えばコレ!豚の丸焼きです。結婚式や誕生日などお祝い事のときに作られるこの料理、パリパリの皮の部分が人気で、取り合いになるそう。でも、最も人気なのがしっぽの部分!その日の主役だけが食べられるしっぽはコリッコリでたまりません!

カンチャンチャラ

トリニダーで古くから飲まれている、カンチャンチャラ。ハチミツとレモンジュース、さらにラム酒をたっぷり加えて、水で割ったカクテルです。爽やかな口当たりですが、アルコール度は高め。飲み過ぎにはご注意を!

タマーレス

乾燥させたトウモロコシの粉末を、炒めた野菜や豚の皮と混ぜ合わせ、トウモロコシの葉で包んで40分ゆでたら、タマーレスの出来上がり。トリニダーでは夕方になると、大きな声で「タマ~レ~ス」と叫びながら売り歩くタマーレス屋さんの姿が見られます。お店でも食べられますよ!

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

砂糖の谷 ロス・インヘニオス渓谷
語り:温水洋一

 トリニダーの繁栄を支えたサトウキビ大農園があったロス・インヘニオス渓谷へ。かつて「砂糖の谷」と呼ばれたこの渓谷には、最盛期に50以上の製糖工場が稼働し、1万人以上の黒人奴隷が工場と農園で働かされていました。かつてサトウキビを運んだ鉄道は、今は大勢の観光客を乗せてトリニダーと渓谷の間を行き来しています。
 渓谷の駅に到着してまず見えてくるのは、1835年に建てられた高さ約45m、7階建てのイスナガの塔。農園で働く奴隷を監視するために建てられました。大農園主の邸宅跡には1884年製のサトウキビの搾り機が残されています。当時は6000人の奴隷がサトウキビを搾る作業を行っていたんだとか。遠いアフリカの地から連れてこられた奴隷たちを待っていたのは過酷な労働でした。
 現在のロス・インヘニオス渓谷にサトウキビ畑はほとんどありませんが、奴隷の絵が掲げられているレストランの庭の片隅に、かつて大農園に植えられていたのと同じ品種の巨大なサトウキビが植わっていました。トリニダーの繁栄を支えた奴隷たち。決して忘れてはならない重要な歴史の一部です。

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