2016年6月7日(火) 初回放送
語り:鈴木 杏
撮影時期:2016年2月
セビリアはスペイン、アンダルシア州の州都。首都・マドリード市から約550㎞南西に位置しています。気候は温暖で、一日の寒暖の差が大きく、夏には日差しがかなり強くなります。
大河グアダルキビル川はセビリアを北から南へと縦断し、大西洋へと流れ込んでいます。コロンブスの大航海以降、アメリカ大陸から運ばれた品々はこの川を上りセビリアに運び込まれ、そのためセビリアは貿易拠点として大きく発展しました。現在でもセビリア港はイベリア半島の重要な港の一つ。
街はアンダルシア地方の商工業と文化の中心地であるとともにスペイン屈指の観光都市。人口はおよそ70万です。
企画会社オーナーのエレナさんが セビリアのバーチャルツアーにご案内。街を歩きながら特製のサングラスをかけると、立っている場所の、過去の風景や人物が現れるという最新の歴史ツアーです。
まずはセビリア大聖堂。大聖堂の鐘楼「ヒラルダの塔」は、ルネサンス様式の見事な装飾で有名。サングラスをかけて見ると、12世紀のアラブ人建築家の姿が現れ、この塔はもともと、イスラム時代に建てたモスクの尖塔(せんとう)だったと言っています。なるほど、ヒラルダの塔のてっぺんの装飾が違います。キリスト教勢力に巻き返されてカトリックの大聖堂の塔に作り替えられたそうなんです。
続いてグアダルキビル川のほとりでサングラスをかけると、大きな帆船でにぎわう港が現れました。これは、大航海時代のセビリア港。大西洋へのアクセスに便利なセビリアは、1492年のコロンブスによるアメリカ大陸の発見以降、大陸との貿易で繁栄をおう歌したのです。
街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!
フラメンコダンサーのルナさんと、友だちのカルメンさんが、元気が出るセビリアグルメをご紹介。
セラニート
セラニートは生ハム、豚肉ソテー、トマト、ピーマンの丸揚げ、卵焼きを、パンに挟んだボリューム満点のサンドイッチ。セビリアの山の幸を丸ごと楽しめるようにと、30年前に店のオーナーが考案したレシピですが、今ではセビリアのあちこちで食べられる名物です。
ソパ・デ・トマテ
セビリア風トマトスープ。トマトとピーマン、タマネギと、こくを出すためのチョリソーを炒め、そこにパンも入れてくたくたになるまで煮込みます。ビタミンたっぷりで、野菜料理でありながらおなかも大満足の一品です。
カゾン・エン・アドボ
「アドボ」は魚の酢漬けのフライ。カゾン=サメを使うのが一般的。サメは身がしっかりしていておいしいけれど、少し臭みがあるので、ニンニク、パプリカやオレガノなどのスパイスとワインビネガーを混ぜたマリネ液を作り、それにじっくり漬け込んでから衣をつけて揚げます。酸味が効いて、ついもう一個、手が伸びてしまいます。
街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!
「ハポン」は、スペイン語で「日本」という意味。セビリアから川沿いに下流へ15キロの街、コリア・デル・リオには 「ハポン」という姓を持つ人がおおぜい暮らす謎の街があるんだそう。
着いた街、川のほとりには、さっそく侍の銅像が。これはいったい誰?と聞くと「ハセクラツネナガよ!」と、流ちょうに教えてくれました。江戸時代初期、伊達政宗の家臣、支倉常長が「慶長遣欧使節団」を率いて、ここから上陸したというのです。ハポンの姓の人々は、使節団のメンバーの子孫と言われているのだそう。
バルにはハポン姓の人がいっぱいいました。なんと800人もいるのだそうです。「日本」って意味の名前、みんななんだか誇らしそう。教会に残る17世紀の洗礼台帳には初めて現れたという「ハポン」の名前が。日本人の名前は難しいから、子孫はみんなハポンね、決まり!みたいなことだったらしい。使節団がスペインに着いた頃には日本は鎖国に向かっていて、結局、彼らの使命は果たせなかった。でも、スペインで恋をして子孫を残したサムライもいたなんて、うれしい話ですね!