2016年10月11日(火) 初回放送
語り:牧瀬里穂
撮影時期:2016年7月
ヨークはロンドンから北へ300キロ、列車ではおよそ2時間かかります。イングランドのノースヨークシャー州に属した街で、人口はおよそ20万。緯度が北緯53度と高く、夏には日没が9時過ぎになります。冬は日照時間が短いため、ヨークシャー地方では農業よりも畜産が盛んで、ヨークシャー種という品種の豚が有名です。
街ではウーズ川とフォス川が合流しており、古くから交通の要衝になってきました。9世紀に一帯を支配したヴァイキングが、この場所を「ヨルヴィーク」と呼んだのがヨークの名前の由来です。
ガイドのアランさんがヨークの歴史をご紹介。
ヨークに最初に城壁が作られたのは、古代ローマ時代のこと。西暦71年、ブリテン島に侵攻してきたローマ人が拠点を構えます。そのあと、アングロサクソン、バイキング、ノルマン人、いろいろな民族が次々に侵略し、街を支配しました。
ヨークに刻まれた歴史の中で、有名なのが「バラ戦争」。(1455-1485) ヨーク家の印が白いバラ、ライバルのランカスターの記章が赤いバラ。ランカスター家出身のイングランド王とその摂政ヨーク公リチャードの対立をきっかけに、王座を巡り、30年にわたる権力争いが繰り広げられたのです。ヨーク大聖堂のステンドグラスには、両勢力の男女が結婚することで戦いが終結したことを記念して赤と白が組み合わされたバラが描かれています。
街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!
ヨーク大学学生のリディアさんと友だちのナタリーさんが、ヨークの名物グルメをご紹介。
ヨークシャー・プディング
第1位は、パブのランチの定番メニュー、 ヨークシャー・プディング。プディングといってもプリンではなく、ローストビーフに添えた、パンのようなもの。もともと、肉をたくさん買えない庶民がおなかいっぱいになるための付け合わせ。油を型にたっぷり入れ、小麦粉と卵、牛乳の生地を注いでオープンで焼き、膨らませます。ボリューム満点の、ヨークのソウルフード。
ソーセージロール
ヨークの人気スポットといえば、世界最大級の鉄道博物館。ここのカフェの人気メニューが「ソーセージロール」。パイ生地でソーセージの具を包んで焼いたスナック。リンゴとマスタード、二種類のチャツネを添えていただきます。
ファット・ラスカル
ヨークで人気の優雅なティールームの一押しメニュー。「ファットラスカル= 太っちょのいたずら坊や」というキュートな名前のお菓子。食べ応えたっぷりの焼き菓子で、スコーンのようだけど、外側にチェリーやアーモンドがあしらわれ、中にはオレンジピールやスパイスが入っていて香りがよく、一口いただけば優雅な気分に。
街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!
ヨークから列車で30分、ネイルズバラ (Knaresborough)という街になんでも「その水に触れると石になる」という不思議な泉があるんだって。
街の人に聞くと「水に触れると物も人間も石になってしまう」「泉の近くの洞窟に住んでいた予言者、マザー・シップトンの呪いでは…」などなど。ちょっと怖そうだけど、勇者になった気分でさあ、行くぞ!
泉は「マザーシップトンの洞窟」という公園の中にあるという。1630年にオープンした、イングランド最古の有料観光名所だというから驚き。巨大などくろのような岩からしたたり落ちる水の下を見ると…。ぎゃー!石にされたシルクハット、人形、やかん、さらにぬいぐるみのクマがつるされている!…係員さんによると、実は、泉の水には大量のミネラルや石灰が含まれていて、これが物の表面を覆い石化するのだそうです。鍾乳石ができるのと似た仕組みですが、小さいぬいぐるみなら3カ月程度で石になり、おみやげとしても人気だとか。自然の神秘は、昔も今も人をひきつけるんですね。