これまでの街歩き

ドナウの真珠
ブダペスト/ ハンガリー

2017年12月26日(火) 初回放送

語り:木村多江

撮影時期:2017年10月

世界地図

地図

場所

 ブダペストはハンガリーの首都。政治・経済・文化の中心で、人口は約175万。中央・東ヨーロッパ最大の都市です。南北に流れるドナウ川の両岸にブダとペストの地区が広がる、「ヨーロッパで最も美しい」といわれる街並みは、世界遺産にも登録されています。
 ブダペストは1873年に、ブダとペストが合併して誕生した街。それ以前の歴史も古く、14世紀にブダがハンガリー王国の都となってからは、ルネサンスにも大きな影響を与えるなど、文化と経済の面で繁栄しました。しかし、16世紀にはオスマン帝国、17世紀にはオーストリア・ハプスブルク家の支配下に置かれ、世界大戦では2度の敗戦、さらにソビエト連邦による侵略を受けるなど、度重なる苦難に襲われました。1990年に民主化されて以降、大きく経済成長を遂げ、現在は中央・東ヨーロッパの都市の中で存在感を増しています。

Information

アジアがルーツ ブダペスト

 ハンガリーはヨーロッパでは非常に珍しい、アジアにルーツをもつ国です。ハンガリーの初代国王・イシュトバーンは、アジアからやってきた騎馬民族の子孫。その騎馬民族は、9世紀ごろにヨーロッパとアジアの境目である「ウラル山脈」を越え、中央アジアから移動してきたと言われています。イシュトバーンは法律を定めてキリスト教を国教とし、ハンガリーをヨーロッパの一員として、まとめ上げました。
 その後、アジアとヨーロッパの境目にあるが故に、ハンガリーは苦難の歴史を歩むことになりました。16世紀にはオスマン帝国に侵略され、17世紀にはオーストリア・ハプスブルク家に攻め入られ、200年以上もの間、支配下に置かれます。
 しかし、その結果、東西の文化が入り混ざる中で発展したブダペストには、様々な建築様式の建物が立ち並び、「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みや、独自の文化「フンガリクム」を育む豊かな土壌が生み出されることになったのです。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

今回の案内人は、ハンガリーの水球代表選手・べーラさん。水球はハンガリーで大人気の国民的スポーツ!べーラさんは2017年の世界水泳選手権で銀メダルを獲得した国のヒーロー。メダル獲得の原動力になった、とっておきのパプリカ・グルメを紹介してくれました。 

グヤ―シュ

ハンガリーを代表する料理。ジャガイモやニンジン、玉ネギなどの野菜と肉を合わせて煮込み、粉末パプリカや塩コショウで味付けしたもの。入れる具材によって、さまざまなバリエーションが楽しめます。ハンガリーの大平原プスタに住んでいた牛飼いたちが、農作業中の昼食に大鍋を使って作っていた料理が由来です。

ランゴッシュ

ハンガリーおやつの大定番。小麦粉の生地を油で揚げて、サワークリームとトラピストチーズを乗せたら出来上がり。トッピングはチーズや粉末パプリカ以外に、塩やガーリック、チリソースなどを選べます。出店で売られているものは、トッピングも含めて1枚 約200円ほど。

コロバイス

ハンガリーの有名なB級グルメ。コーン型のパンの中に、パプリカ風味の焼きソーセージとザワークラウト(酸っぱい千切りキャベツ)、炒めたタマネギを入れて、ケチャップやマスタードで味付けしたもの。お好みでチーズ等もトッピングできます。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

タタ ハンガリーの原風景を訪ねて
語り:つぶやきシロー

 今回目指すのは、ブダペストから電車で約1時間の「水の都」タタ。ここに、1000年前、ハンガリーの国がつくられた当時の「原風景」が今も残っているのだそう。着いてすぐ、湖でとれた鯉を売っていた男性たちの1人に「1000年前の原風景」について尋ねると、「探している人は、街の外れにいるよ。危険なことをしているが、勇気を持って行けば大丈夫」とのこと・・・。
 恐る恐る街の外れに向かって歩いていると、馬に乗った男性に遭遇。「1000年前の原風景」について質問すると、「ハンガリーの伝統を守っているのは僕たちのことだと思う」との答え。ついていくと、着物のような服を着た人々が馬に乗りながら、次々と的に矢を当てていくではありませんか!まるで日本の流鏑馬(やぶさめ)のよう!
 男性は、このチームの師範のブラージクさん。1000年前に騎馬民族が築いた武芸を再現して、守り続けているのだとか。「先祖と繋がるような感覚」なのだそう。何だかお侍さんみたいな雰囲気。ちょっぴり身近に感じられる、ハンガリーの「原風景」でした。

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