これまでの街歩き

シルクロード 青の都
サマルカンド/ ウズベキスタン

2018年12月18日(火) 初回放送

語り:八嶋智人

撮影時期:2018年9月

世界地図

地図

場所

 サマルカンドの起源は、紀元前10世紀にさかのぼります。砂漠の中に、こんこんと水が湧き出るオアシスがあり、農業や牧畜が盛んでした。アジアとヨーロッパを結ぶシルクロードのちょうど真ん中に位置していたことから、中央アジア随一の交易都市として発展。東西各地の人々や産物が集まり繁栄しますが、13世紀のチンギス・ハン率いるモンゴル軍の侵略で、街は壊滅、廃墟同然となりました。
 14世紀末、ティムール朝の建国者アムール・ティムールの手によって復興。名だたる建築家や芸術家が集められ、現在に残る世界一美しい都が築かれました。その後もサマルカンドを巡る争奪戦は繰り返し起きますが、中央アジアの主要都市の一つとして、発展を続けました。

Information

青の都の由縁と繁栄

 アムール・ティムールの手によって世界一美しい街並みとなったサマルカンド。多くの建物が青を基調している大きな理由は、ティムール王がこよなく愛した色だからと言われています。透き通るような水色から深い紺色まで、さまざまな青色のタイルが建物に使われ、その美しさから「青の都」「イスラム世界の宝石」などと呼ばれるようになりました。
 特に美しい建物が立ち並ぶレギスタン広場では古くから市が開かれていて、東西からやってきた商人や旅人で大いににぎわいました。豊かな物資や新しい文化をもたらす彼らは、街の大切なお客様。地元の人たちは客人を「敬うべき父親より大切な存在」として手厚くもてなしました。今でもその心は残り、世界中から来た観光客を大切にもてなす街になっています。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

今回、オススメの料理を紹介してくれたのは、街の食いしん坊コンビ、ディロロンさんとマスーダさん。サマルカンドならではの作り方や味付けがたくさんあるんです。食べると元気いっぱいになる、この街の特徴豊かな絶品グルメを紹介します。

シャシリク

「シャシリク」は、中央アジア全域で昔から食べられてきたスタミナ満点の串焼き肉。種類は羊、牛、豚、鶏など、いろいろ。また牛のひき肉と玉ねぎで作ったつくねのようなものもあります。肉を50cm近くある金属の串に刺していき、炭火でじっくり焼き上げます。焼いてる間に無駄な油が落とされ、こんがり焼けたら完成。ジューシーで、誰もが大好きな一品です。

プロフ

「プロフ」とはピラフのこと。まずは油をたっぷり入れた大鍋で、肉と玉ねぎを炒めます。次に入れるのが黄色いニンジン。この黄色ニンジンがご飯に甘みやコクを出します。さらに干しぶどうやひよこ豆をたくさん加えて30分。最後にお米と水を入れ、蓋をして炊き上がれば、出来上がり。お店でも自宅でも食べる、サマルカンドっ子のソウルフードです。

サムサ

「サムサ」はインド料理の包み揚げ「サモサ」に似てますが、作り方がちょっと違います。まずは皮。小麦粉で作った生地を薄く伸ばし、それを何重にも重ねてパイ生地を作ります。具は牛と羊の細切れ肉と、タマネギやクミンを混ぜ合わせたもの。これを皮にしっかり包んで、熱々の土窯の内壁に貼り付けて高温で焼き上げます。表面はパイのようにパリパリ、中は肉汁たっぷりの軽食です。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

シルクロードの伝統刺しゅう“スザニ”の村
語り:濱田マリ

 シルクロード時代から伝わる刺しゅう“スザニ”を見に行きます。目指すのは、サマルカンドから南東40kmの場所にあるウルグット。その街の市場でスザニ店入ると、カラフルなスザニが壁一面に飾られています。1枚1枚のデザインや色が全く違います。店主によると「スザニの模様にはそれぞれ意味がある。ザクロは家族繁栄や子だくさん、ティーポットはもてなしの意味」なんだそう。
 さらにスザニ作りをしている お宅を訪ねると、若い子から年配の方まで、家族の女性みんなで縫っています。塗っているスザニは娘さんの結婚式のためのもの。式当日、新郎の家族にあいさつに行く際、花嫁はスザニを頭からかぶって顔を見せないのが、昔からの習わしなのだそう。
 また、別の方のお宅へ案内されると、伝統楽器のすてきな音色が響く「ゆりかご祭り」の最中。スザニで飾った揺りかごに赤ちゃんを初めて入れるお祝い行事で、親戚一同が集まっています。人生の節目節目を彩るスザニ、その役割の大切さを感じます。

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