これまでの街歩き

ザグレブ/ クロアチア

2007年6月5日(火) 初回放送

語り:工藤夕貴

撮影時期:2007年4月

街の「ネクタイ」

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メインストリートに接する歴史ある建物の一階には、宝石店やブティックなどが入っています。その一角に、中世の騎士を思わせる姿をした男性が直立不動で立っていました。首には真っ赤なスカーフ。ネクタイ専門店の店員だといいます。男性は自信たっぷりにネクタイの説明をしてくれました。
実は、ネクタイはクロアチアが発祥の地。
17世紀に、戦場に赴く男性に女性が無事を祈って赤いスカーフを巻きつけたのが始まりとか。その姿をフランス人が見て気に入り、ヨーロッパ中に広まっていったそうです。オープンカフェでも、奥さんがさりげなく夫の曲がっていたネクタイを直してあげていました。

街の「大砲」

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旧市街に、街を見下ろせる場所があります。そこには小さな塔が建っていて、毎日、正午を知らせる大砲を撃ちます。100年以上続いている伝統だそうです。この日は、ザグレブの社会科見学に来た小学生たちが集まっていました。怖がる子や大はしゃぎの子、みんなで「3、2、1」とカウントダウン。ドーンと大きな音が鳴って皆びっくりしていました。
塔から降りてきた白髪のひげを蓄えたおじさん、「どうだ、すごかっただろ」とご自慢のよう。この人が毎日12時きっかりに大砲を撃つ係だそうです。実は夕方このおじさんに新市街で偶然再会したんですが、忙しそうに「時は金なり」と言って去っていきました。毎日欠かさず正確な“時”を告げてきた人ならではの言葉ですね。

街の「古アパート」

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新市街のはずれ、ザグレブ駅の裏手に古びたアパートを見つけました。屋根にはいくつもの煙突、レンガ壁の間からすすけた木材の骨組みが見えています。温かみを感じるアパートです。もう誰も住んでいないのだろうと思って近づいてみると、草木の茂った庭でサッカーに興じる親子がいました。家族で住んで14年になるとのこと。奥さんの生家だそうです。生まれてから住み続けている奥さんが、二階の窓から「この建物は100年以上前に建てられたのよ。狭いけど住み心地はいいわよ」と話してくれました。市街地の中にぽつりと残った築100年以上の古ぼけたアパート。駅の近くにこんなにゆったりした暮らしがあるなんて、ちょっとびっくり。

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