これまでの街歩き

アメリカ・“歴史”の街を歩く
フィラデルフィア/ アメリカ

2011年6月8日(水) 初回放送

語り:余 貴美子

撮影時期:2011年4月

街の「朝食」

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朝8時半のビル街。通勤途中の人たちが慌ただしく屋台で朝食を買っている列を発見しました。屋台には、それぞれ専門分野があって、サンドイッチ、アラブ料理、アジア料理、フルーツ・サラダ専門など、好きなメニューを選ぶことができます。注文している男性に「何を買っているの?」と聞いてみると、「マルサーシだよ」との答え。なんでも、フィラデルフィアではみんな大好きな食べ物なのだそうです。卵をのせたり、オニオンをのせたり、マルサーシにいろいろとアレンジして食べるとのこと。男性は「人はそれを“ホットドッグ”と呼ぶかもしれない」といいます。どうやら、パンにはさむ具の種類によって、呼び方を分けているらしいのです。さすがアメリカの国民食!ひと口にホットドッグと言っても、さまざまな種類があるんですね。他にもサンドイッチを注文するのに、「卵にベーコン、ベーコンはターキーベーコン、ケチャップいっぱい」で、さらに「サンドイッチは切っちゃダメ!」というお客さんも…。「サンドイッチは丸かじりするのが肝心」なんですって。フィラデルフィアの人って、こだわり派が多いんですね。

街の「火災保険」

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歩いていると、1800年代の街並みが残る住宅街に迷い込みました。小さくてかわいらしい家々が、肩を寄せ合うように並んでいます。ふと見上げると、いくつかの家の窓の上に古そうな四角いプレートが。「握手」のレリーフと、その下には「1794」と書かれた年号らしき数字。別の家には、緑色の木のマークや、蛇のようなマークが掲げられています。不思議に思い、近所の家から出て来たおじさんに聞いてみました。おじさんによると、このプレートは18~19世紀のもので、「火災保険」に加入した家につけられた目印なのだとか。フィラデルフィアは古くから火災保険が発達した街で、保険会社がたくさんあったそうです。さらに、保険会社は各々で消防隊を組織しており、消火活動もおこなっていました。例えば、「緑の木」という会社の保険に加入していれば、火事になった時に「緑の木」社の消防隊が駆けつけるといった具合。それじゃあ、保険に加入していなかったら、火事になっても誰も助けてくれないの?とおじさんに聞いてみると、「たぶんね」との答え。保険会社同士は縄張り意識が強く、同時に2社の消防隊が火事場に到着したときには、火事は放っておいてどちらが火を消すかでもめた、という話もあります。今ではもちろん消防署が消火してくれますが、昔はずいぶん事情が違っていたんですね。

街の「結婚式」

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夕暮れ時の街角を歩いていると、レンガ造りの長い屋根の建物が目に入りました。建物と言っても壁はなく、たくさんの柱で屋根が支えられているだけ。その下では人が集まり、パーティーが開かれている様子。この場所は、「ヘッドハウス・スクエア」という、1745年に建設された公設市場。当時は“ニューマーケット”と呼ばれていたそうです。なんと今でも現役で、温暖な季節になると定期的に市が立ちます。
そんな歴史あふれる場所で開かれていたのは結婚式。テーブルを並べて、生バンドを呼んで、ワイワイお祝いをしています。古い建物が、市民の間でちゃんと利用されているのですね。新婦のお母さんにお話を聞いてみると、娘の結婚にかなり興奮しているご様子。「変わった子だから、一生結婚しないと思い込んでいた」のだとか…。娘の新たな門出に、喜びつつもちょっぴり寂しい。そんな心の内を聞かせてもらいました。

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