これまでの街歩き

高雄/ 台湾

2013年5月7日(火) 初回放送

語り:余 貴美子

撮影時期:2013年3月

街の「神様」

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 高雄では、道教や仏教が人々の暮らしに根づいています。港のそばにある媽祖廟(まそびょう)は高雄で一番古い廟で、海の女神“媽祖”を祭っています。媽祖は漁業や航海の守護神として信仰されている道教の神様です。
 廟の中に入ると、地元の人たちが線香をあげて祈っていました。若い人も毎日のようにお参りに訪れるそうです。ここで会った男性に話を聞くと、生活のさまざまなことについて神様におうかがいを立てているのだとか。彼が「今年、結婚ができるかどうか」を聞いてみると、神様の答えは「イエス」でした!
 旅行先や子どもの進学先、病気の回復の見込みなど、日常のあらゆることを相談していますが、何もかも神頼みというのはダメ。たまには、「よく考えなさい」という答えも出るそうです。

街の「公園」

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 海に近い通りを歩いていると、駅のプラットホームのような建物が見えてきます。線路が何本も通っていますが、人影はほとんどありません。この建物はもともと貨物駅でしたが、港が手狭になって移転したため、公園として新たに整備されたのだそうです。朝夕の涼しい時間や休日になれば、観光客や地元の人々でにぎわうのだとか。
 公園を抜けると“第二芸術特区”に入り、倉庫を改装したアートギャラリーやライブハウスがあります。ここも人気の観光スポットで、展示会やクラフト市などが開かれる文化エリアです。高雄を支える工場労働者や海女(あま)さんなどのオブジェがあちこちに設置されています。通りで出会った地元の若者は、そんな高雄の労働者の人たちをとても誇りに思っていると、話してくれました。暮らしの中から生まれたアートは、街の人々にしっかりと根づいているんですね。

街の「人形劇」

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 夜、住宅街からにぎやかな音楽が聴こえてきます。そこには、お宮の前に赤いちょうちんがつるされ、人形劇が行われていました。伝統劇を現代風にアレンジした人形劇で、弁士が臨場感たっぷりに語っています。ステージでは火花が散ったり、炎があがったりと、演出も華やか。
 人形劇は台湾で“布袋劇”と呼ばれ、17世紀に中国福建省から伝わりました。トラックの荷台にやぐらを組んだ移動式の人形劇場なので、お寺やお宮でよく上演されているそうです。
 小学生の男の子が「今日は神様の誕生祝いの公演だよ」と教えてくれました。この日、劇を夢中で見ていたのは、ほとんどが大人の男性たち。客席がないのでスクーターにまたがったまま、2時間も3時間も見ています。

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