これまでの街歩き

トリノ/ イタリア

2015年8月25日(火) 初回放送

語り:田畑智子

撮影時期:2015年6月

街の「カフェ」

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 ポルティコの下を歩いていると、カフェテラスでコーヒー談議中の殿方たちに出会いました。この店のコーヒーはかなりいいね!とご機嫌。「豆はもちろん、店員が大事だよ」と、にやり笑います。
 当の熟練店員さんに尋ねたところ「誰が入れるかなんて、ささいなことです」とあくまでご謙遜。これは相当渋い!
でも見ていると、ははーん、わかってきましたよ。常連さんの好みをさりげなく覚えてたり、我慢強く愚痴につきあっていたり…。
 トリノではかつて、貴族や政治家がカフェに集って議論をしていたことから、カフェ文化が発達したそうです。今もしゃれたカフェがたくさんありますが、みなさんそれぞれお気に入りのカフェがあるようですね。

街の「地獄」

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 街の西へ向かって歩いていると、大きな噴水のある広場にやってきました。なにやら訳ありげな彫刻も見えますぞ・・・。
 噴水で水遊びをしてずぶぬれになったというカップルに聞くと、彫刻は「死の天使」で、この広場は「地獄の入り口」なのだと教えてくれました。
 えー、それは怖い! 実はこの広場は、黒魔術の中心と言われています。ローマ時代の処刑場だったからとか、彫刻の天使がトンネル事故の犠牲者を地獄へ連れていくとか、太陽が沈む西の方角だから…など、諸説がまことしやかに言い伝えられているそうで…。
 でも若者たちは「ここで二人が出会ったよね」とあっけらかん。雲のすきまから顔を出した太陽の下、ぬれた服を乾かすことに必死な様子でした。

街の「映写技師」

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 街の中心部で、ガラス張りの天井と華麗な装飾に囲まれた、大きな空間を発見。これは「ガレリア」といって、19世紀、ブルジョアの娯楽の場として造られたアーケード。中には1930年代に映画を上映し始めたという、歴史ある名画座がありました。
 トリノは、イタリアでいち早く撮影スタジオや配給会社が作られた、イタリア映画発祥の地。それだけに、映画館のスタッフにもこだわりがあるようです。
 中を案内してくれた映写技師さん、映画の話を始めると途端に熱を帯びてきました。デジタル映画の隆盛に「フィルムを手でつなぐと、お客様のために何かを作ったという満足感があるのです」。その情熱は、きっと映画を通して観客に伝わっているでしょうね。

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