これまでの街歩き

グアム/ アメリカ

2016年5月10日(火) 初回放送

語り:吉田 羊

撮影時期:2016年2月

街の「文化センター付き芸術家」

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 文化センターなる1軒家をのぞくと、裸の男が床の上で大きな絵を描いていました。地元のアーティストなのだそうです。彼の作品は発掘されたチャモロの昔の陶器の文様をモチーフに、3Dのポップアートにしたもの。自身のルーツの古代チャモロ文化を現代にのみがえらせるんだそうです。
 アメリカ本土の大学で美術を学んだ彼は1980年代に、故郷でもある太平洋の島々の強烈な太陽とチャモロの熱に感化され、作品を作り続けているそうです。彼にとって何より欠かせないのは光と風と海の匂いだとか。寝食も忘れ、この文化センターに泊まり込んで創作に励んでいます。
 ちなみにここチャモロ文化センターは平屋の建物が8つあり、地元アーティストのスタジオや博物館、チャモロダンスや伝統文化の教室、伝統工芸の展示・販売が行われています。

街の「サイカブト虫」

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 歩いていると、木の下に白いバケツがぶら下がっている。これは? と、道行く人に尋ねると、サイカブト虫という甲虫を捕えるためのワナ。このサイカブト虫、何と、やしの木を食い荒らして枯れ死させてしまう害虫なのだそう。
 2007年に公式に上陸が確認された外来種。原産地はインドシナ半島周辺と言われ、現在は東南アジア広域、インド・スリランカ・中国南部、果てはハワイにまで分布を広げている。日本でも沖縄県の南西諸島のほぼ全域に生息。九州南部でも発見の報告例があります。
 この恐ろしいサイカブト虫を駆除しようと、グアムでは大わらわ。農務省が中心となり、このワナバケツを発案し、グアム中につる下げているのだそう。「ヤシの木が全部食べられちゃったら、南の楽園ぽくなくなっちゃう」というのがグアムの人の悩みです。

街の「三世代女性像」

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 道を歩いているとパステルブルーの海が開けます。その傍らに娘、母、祖母の女性3人が寄り添う像がありました。これは母系社会であるグアムの文化を象徴する像なのだそうです。伝説では、「その昔に巨大魚がグアム島を食べ、島が半分に分かれてしまいました。男たちはその魚を退治しようとしましたが、どうしてもかないません。その時女性たちが自らの髪の毛で編んだひもで島をつなぎとめ、危機を救ったのです。」
 そう語ってくれた80歳のお婆さんもき然としたいで立ちで、一族の最高権力者であることを誇りにしていました。一族の結婚相手も、住む場所も、最長老の女性が決定するのが、古代からのグアムの習わしなのです。

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