これまでの街歩き

セビリア スペイン広場から北へ/ スペイン

2016年6月7日(火) 初回放送

語り:鈴木 杏

撮影時期:2016年2月

街の「元タバコ工場」

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 街の中心に向かって歩いていると、ずーっと柵が続く、大きい建物が見えてきました。美しい彫刻が施されたこの立派な建物はなんだろう、と、若い女の子たちに聞くと、ここはセビリア大学で、彼女たちは大学生。校舎はオペラ「カルメン」の舞台となったことで有名なんだそう。
 へえ、カルメン?実はこの校舎はもともと、18世紀に建てられた、王立タバコ工場。200年間、世界最大のタバコ工場だったそうで、オペラのカルメンはここで働く工員、という設定です。魔性の美女、カルメンが衛兵のドン・ホセと出会う場面はここだったんですね。ドン・ホセを恋のとりこにしたカルメンは、最後に心変わりして最後にドン・ホセに殺されてしまうんだっけ。
 ちなみにボーイフレンドは、と女の子たちに聞くと、彼女たちは心変わりすることなく、うまくいっているそうです。

街の「きのこ」

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 商店街を抜けると、突然白いうねうねした巨大な屋根のようなものが目に飛び込んできました。通りすがりの人に聞くと「あれはきのこだよ」?? 
 「きのこ」は愛称で、この建物は2011年、セビリアの新しいシンボルとして完成した複合施設「メトロポール・パラソル」。屋根は木でできていて、木材を用いた構造物としては世界最大級、敷地面積は、東大寺大仏殿を上回るというから驚きです。
 「きのこ」の一階に入れば、そこは八百屋さんや肉屋さんが立ち並びぶ市場で、とても庶民的。建物とのギャップにとまどい尋ねてみると、もともと市場だった建物が老朽化して別の場所に移ったのがおよそ40年前。駐車場にしようという計画があったり、「きのこ」の建設資金が尽きたり、いろいろあって37年2か月と20日ぶりに元の場所に店を出すことができたのだとか。 戻って来られて、良かったですねえ。

街の「おみこしみたいなの」

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 セビリアの北側、マカレナ地区のバルで楽しそうに昼間から飲んでいる男性たち。聞けば彼らはマカレナ教会の信者さん。もうすぐ聖週間のお祭りがあり、マカレナのマリア様やキリスト様の像を載せたおみこしのような台を担いで行進するのだそうです。聖週間は、キリストの受難と死を追体験する、セビリアでは一番大事なお祭り。男性たち、みんな後頭部の同じところにこぶが。これは長年、台を担いでできたものだそう。夜には行進の練習をするそうです。
 夜になると、暗い路地の向こうから、やってきました!男性たちの集団が、おみこしのようなものを担いで、じりっじりっと歩いてきます。練習なので聖像は載せていませんが、それでも重さは3トンもあるというから、これはこぶもできるはず。後頭部のこぶは、厚い信仰の証なんですね。

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