これまでの街歩き

ゲーテが愛した街
ワイマール/ ドイツ

2017年7月18日(火) 初回放送

語り:イッセー尾形

撮影時期:2017年5月

街の「傘屋さん」

Photo

 18世紀末頃に建てられた旧市街の建物はとってもカラフル。オレンジや黄色、ピンクなど色とりどりで、歩いているだけで楽しい気分になります。路地を歩いていると、爽やかなグリーン色の建物に銀色のオブジェを発見。何かのお店?
 玄関先で立ち話中の女性たちに尋ねると、ここは街で唯一の傘屋だそう。「古い傘を直すのが大好きなの」と笑顔で話す店主に誘われ、店内にお邪魔してみると、色も形もさまざまなオシャレな傘がいっぱい。中には150年前に流行したという折り畳み式の傘で、顔を隠したり、扇子のようにあおいだりできるという楽しいものも。
 街の人たちは古い伝統や格言を大切にしていると語る店主が、歴史がありそうな味わいあるレジに貼り付けた一つの格言を見せてくれました。「雨が降りたければ降らせておけばいい。いつか雨粒を落とすのをやめる時がくるはずだから」。ゲーテが書いたというこの雨の格言が、3年前に夫を亡くした悲しみを癒やし、自分を支えてくれているのだそうです。なんとも優しい言葉と出会いました。

街の「みんなの憩いの広場」

Photo

 今度は旧市街の東側にある緑の公園を歩いてみることに。大きな川を境に広がる緑地は、かつてゲーテが植物を研究した場所としても知られています。澄み切った水が流れる小さな川があり、たくさんの木々が木陰をつくり芝生がどこまでも続く広大な広場。
 のんびりと散歩を楽しむ人びとと挨拶を交わしながらぶらぶら行くと、小さな池で遊ぶ家族連れと遭遇。幼い娘さんと池の水でおままごとをして楽しんでいる様子です。声を掛けてみると、美人の奥さんが「ここは街の人たちが雄牛の目と呼ぶ池で、水が涌き出す大切な場所なの」と教えてくれました。
 ワイマールとは「聖なる泉」という意味を持つのだそうで、街の人たちが親しむこの池は水はもちろん、文化や知恵も湧き出す泉だと信じられているのだそうです。ゲーテたちが街に根付かせた「個人の自由を尊ぶ心」を娘さんにも伝えたいのだと熱心に語って聞かせてくれました。母から子へ受け継がれるワイマールの心と出会います。

街の「彫刻家さん」

Photo

 鳥たちの美しいさえずりを聞きながら散歩を続けていると、公園の行き止まりに家が。その前に何やら不思議な物が置いてあります。どうやら石で造られた女性の像のよう。何とも不思議な格好が気になり、庭仕事をしていた男性に聞いてみようと思いながら近づいていくと、また不思議なものを発見…今度はお尻?!。と、庭の男性が「僕のお尻だよ」と言い出すではありませんか。
 この男性、聞けば彫刻家さんで、お尻を突き出した像は「愛」をテーマに作ったんだそう。何とも不思議な愛のカタチに戸惑っていると、テラスにもいっぱいあるよと誘ってくれました。そこには、地中に顔を埋める男性や耳に手を当て苦しそうに体をよじる男性の像が…。これらは全てこの男性自身なんだそう。心の中を見つめる姿、何を作るべきか心の声を聞き逃すまいとする姿。限界は決めちゃいけないものなのだと、エネルギッシュに語り続ける男性。自分の決めた人生と格闘を続ける彫刻家さんと出会います。

※NHKサイトを離れます
ページトップ