これまでの街歩き

「幸せ」の住む街
バイヨンヌ/ フランス

2017年8月29日(火) 初回放送

語り:田畑智子

撮影時期:2017年5月

街の「チョコレート屋さん」

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 石造りのアーケードがある通りを歩いていると、花束のようなものを大事そうに抱えて歩く男性を発見。声をかけてみると、奥さんにプレゼントするチョコレートの花束でとってもおいしいのだと教えてくれました。
 すぐそこのアトリエで作られていると聞き中をのぞいてみると…小さな男の子たちがお姉さんと楽し気に何やらやっている様子。女性に尋ねると、見習いさんと一緒にチョコレートを作るというではありませんか。溶かしたチョコレートを広げてお熱を測ったり、冷やしたり…優しく教えるお姉さんの指導の下、子供たちは目を盗んではチョコをなめて満足そうにしています。そんなほほえましい様子を眺めていると不思議な形をしたチョコレートが完成。バイヨンヌはフランスで初めてチョコレートが作られた街なんだとお姉さんが教えてくれました。
 スペインを追われたユダヤ人がカカオ豆を持ち込んだのが始まりだそう。人を幸せにするチョコレートは、今も昔もバイヨンヌの人びとの心をつなぐ大切なものとして大切に守り継がれているんですね。

街の「芝刈り部隊」

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 ちょっと旧市街の外に足を向けてみようと歩いていくと、グラン・バイヨンヌの端っこに歴史がありそうな城塞がありました。石造りの立派なアーチを抜けて行くと外側には深いお堀が造られていて、いかにバイヨンヌが大きな勢力で守られていたのかが想像できます。
 すると、どこからか「メェ~」という声が聞こえて来たではありませんか!なんと、お堀の下にいっぱい動物が…そこにいた男性に声をかけてみると「街の芝刈り部隊さ」という面白い答えが返ってきました。
 誘われてお堀に下りて行ってみると、そこにいたのは急斜面のプロというピレネーヤギたち。ピレネー山脈に生息する古代種なんだそう。40パーセントを緑地が占めるバイヨンヌを巡回して草刈りを行っているんだそうです。ムシャムシャと草をほおばるピレネーヤギに見入っていると、ピレネーヤギは絶滅の恐れがあったんだよと男性が教えてくれました。街もヤギも互いに支え合って暮らす、バイヨンヌの人たちの優しい心根を感じられる出会いです。

街の「古本屋さん」

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 プチ・バイヨンヌの路地を歩いていると、道端で怪しげにゴソゴソと何かをしている女性がいるではありませんか。不審に思い近づいていくと、どうやらそこは本屋さんのよう。脇目もふらず探している本って何だろう?と興味が沸いて来て、思い切って声をかけてみました。驚きつつも振り返った女性は、雰囲気も答えもとっても個性的!戸惑いつつも話を聞いてみると、この女性古本屋の店主でした。
 プチ・バイヨンヌで20年という古本屋に隙間なく埋め尽くされていたのはバスクの本ばかり。アイデンティティーを探し求めてこの古本屋を始めたと語る女性にその理由を尋ねてみると、自分にはスペイン・フランス・バスクの血が混在しているからなのだという答え。そして見つけた答えは…一つの詩の中に。すてきな言葉が導いてくれたアイデンティティーを胸に、幸せそうな笑顔が印象的な古本屋さんと出会います。

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