これまでの街歩き

歴史をくぐり抜けてきた街
マーストリヒト/ オランダ

2017年9月19日(火) 初回放送

語り:キムラ緑子

撮影時期:2017年6月

街の「シンボル カリヨン」

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 17世紀に建てられた市庁舎から聞こえる鐘の音に耳を傾けていると、一人の男性に声をかけられました。聞けばこの街のカリヨン奏者なんだとか。カリヨンとは異なる音色を出す鐘を組み合わせた打楽器であり、マーストリヒトのものは49もの鐘から構成されているのだそう。
 声をかけてきたのはカリヨン奏者のフランク・スタインスさん。実際に演奏をするところを見学させて頂くことに。聴かせてくれたのは昔ながらのバロック音楽。伝統的なカリヨンが響かせるのは伝統的な音楽・・・というわけでもなく、ポップスなど最近の流行りの曲を演奏することもあるんだとか。とくにはリクエストにも応えてくれるそう。とある男性のプロポーズをカリヨンの演奏で後押しをしたこともあるんだとか。カリヨンの音は昔も今も変わらず、マーストリヒトの人々を支え続けています。

街の「世界で最も美しい本屋」

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 街の中心近くを歩いていると、大きな古い教会が。ところが中に入って見ると、ところせましと本が並べられているではありませんか。実はここ、「世界で最も美しい本屋」に選ばれたこともある有名な本屋なのです。
 もともとここは13世紀に建てられたカトリック教会。ところが18世紀末に街を占領したフランス革命軍によって馬小屋として使われたことで、教会としての機能を失いました。その後は自転車置き場などに使われるなどのう余曲折を経て2000年に本屋として再出発したのです。
 ここで出会った常連のお客さんは、3階がお気に入り。天井のフレスコ画をより間近に見ることができるからだとか。教会としての機能を失っても取り壊さずに別の形で利用してしまう、なんとも合理主義のオランダ人らしい本屋さんです。

街の「円熟コーラス隊」

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 聖母マリア教会はマーストリヒトで最も人気のある教会です。11世紀に建てられたローマカトリック教会で、礼拝堂の聖母マリア像を拝むと争い事が仲裁されるという言い伝えがあります。そんな聖母マリア教会でコーラス隊の練習があると聞き、見学させてもらうことに。練習場は教会の中。厳かな雰囲気に包まれて、聖母マリアを讃える歌を熱心に練習中でした。
 終わると、今度はいそいそと教会の2階へ。一緒についていくと、なんと教会の一室がバーのように。皆さんお酒を片手に乾杯!「ひと仕事終えた後だから、教会の中で飲んでも大丈夫!」なのだそうです。曰く人生は「深刻なこともあるけれど、満喫しきゃいけないもの」。今、この瞬間を楽しむマーストリヒトの人々の気質がちょっと分かった気がします。

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