これまでの街歩き

海のシルクロードの面影
泉州/ 中国

2018年11月6日(火) 初回放送

語り:小倉久寛

撮影時期:2018年7月

街の「ミルク・スタンド」

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 街なかで見かける、ヤギを2頭乗せた電動トラック。実は、顧客の元に行って、その場で乳搾りをして届けるという、移動式・製造直売の「ヤギミルク・スタンド」でした。
 そのうちの1人に尋ねてみると、彼女は、泉州の郊外でヤギを5頭飼っていて、毎日通ってきているそうです。ヤギの乳は胃腸に優しく、牛乳のようにお腹がゴロゴロしたりしないのだとか。買っていた顧客の男性も、息子さんが胃が悪いので、飲ませているといいます。
 値段は500g約500円なので、日本の牛乳よりも高いですが、効能があるなら良いのかもしれません。見かけた別の男性の電動トラックは、ほろがボロボロでした。ヒマな時にヤギがかじってしまうのです。

街の「カンフー茶」

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 武術道具店に寄ってみると、主人はもともと、泉州で一番古いというお茶屋さんの7代目でした。店内の一角にあるテーブルで、お茶のいれ方を拝見。テーブルは、お茶専用のもので、水をこぼしても排水されて下のバケツに導かれるようになっています。急須は使わず、小さい茶わんとふたを使って器用にお茶をいれます。お茶を飲む茶わんも小さく、味わいながら何度もいれて飲みます。
 こうしたお茶の楽しみ方を「カンフー茶」と言うとか。日本では武術のイメージが強い「カンフー」、実は「時間をかける」というのが元の意味で、武術の修練も時間がかかるので「カンフー」、お茶も時間をかけて楽しむので「カンフー」なのだそうです。

街の「人形劇」

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 泉州伝統の人形劇は、古くは唐の時代に起源を持ち、宋代に盛んになった伝統芸能。その特徴は、何と言っても操り糸の多さ。30本も使うものもあるそうで、小道具を人形が手でつかんだり、豊かな表情を見せたりといった繊細な表現が可能になるのです。演目は神話・伝説から現代劇に至るまで多様で、中にはアラブ人や日本人が出てくるものもあります。
 演じているのは、20代の若者が多く、それでもキャリアは10年以上のベテラン。人形の動作の難しさ以上に、「人形にどう魂を宿らせ、観客の心に響かせるか」が課題で、あくなき追求を続けているといいます。

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