2018年12月18日(火) 初回放送
語り:八嶋智人
撮影時期:2018年9月
レギスタン広場の建物の表面はモザイクタイルで作った青い幾何学模様で彩られています。広場の一角で、そのモザイクタイルを売るお店を訪ねました。1階はショップ。色あざやかなモザイクがたくさん。広場の建物のデザインのミニチュアだそうです。2階は工房で、タイルのうわ薬を塗る作業の最中でした。
塗っている色が灰色なので不思議に思っていると、「うわぐすりは灰色だけど、焼くと青色に変わるんだ」と職人さん。ティムール朝時代から変わらず続く製法で、焼くと、化学変化によって鮮やかな色に変わるのだそう。焼き上がったものは、驚くほど鮮やかな青色でした。
職人さんによると、青色は「清らかな心の色」なんだとか。サマルカンドに何百年も続く貴重な伝統に触れることができました。
街の市場を歩けば、丸々としたスイカやメロン、桃やリンゴなど、色とりどりの大きな果物や野菜があふれています。ほとんどがサマルカンド周辺で作られたものだそう。さすがはシルクロードのオアシス。
どの店の人も優しく、試食でもてなしてくれたのですが、中でもひときわ元気だったのがイチジク屋のおばちゃんたち。売られていたのは日本では珍しい黄色いイチジクで、年に2回、7月と10月に実るんだそうです。
さらに、キラキラの金歯がまぶしい売り子のおばちゃんによると、このイチジクは特に男性たちの夜の元気の源になるんだとか。そのおかげで彼女は子どもが10人できて、幸せなんだとか。オアシス都市で育った農作物が、この街の人たちの体も心も明るく潤わせているようでした。
住宅街の路地で出会ったおばあちゃんは、息子3人とその妻子や孫たちとともに、中庭を囲んだ住居で仲良く暮らしています。お茶の時間を楽しんでいた家族の女性たちは、おばあちゃんを含め、みんな青い服を着ていました。家族の誰かが亡くなると、喪に服すために1年間、青い服を着続けるのが、昔から街の習わしとのこと。
小さな孫たちも多く、大家族の暮らしは家事が大変そうですが、「みんなで協力しあっているから平気」なんだそう。また、お年寄りを、「家族を見守り、知恵を授け、みんなを幸せに導く『天使』」として敬い、おばあちゃんを家族みんなで大切にしている姿に心温まりました。
おばあちゃんから授かった知恵で、お孫さんが収穫してくれたブドウの一房を、お土産にいただきました。