2005年10月9日(日)
午後9時00分~9時52分
総合
中東和平は前進するのか、世界が注目したイスラエルのガザ地区からの撤退。38年に及ぶ占領の終結は、イスラエル社会に深刻な亀裂をもたらした。国家の安全保障、宗教と国家の関係など、建国以来57年間くすぶってきたイスラエルという国家のあり方そのものに関わる問題が顕在化することとなった。
ガザ地区の入植者8500人の退去に抵抗した人々の多くは、いまイスラエルで増え続ける宗教右派と呼ばれる人たちだ。聖書の教えを絶対視し、ガザ地区はユダヤ人が神から約束された土地だと強く信じてきた。和平のための譲歩もやむを得ないとする世俗派の人たちとの溝はより深まり、他の占領地からの撤退となれば流血の事態も危惧されている。
撤退を決断したシャロン首相率いる与党リクードも分裂状態だ。「ガザ撤退でイスラエルの安全は守れなくなった」とネタニヤフ元首相が反旗をひるがえし、次回の党首選への立候補を表明したのだ。
「約束の地」にユダヤ人の「安住の地」を作ろうとしてきたイスラエル。パレスチナとの泥沼の紛争という現実を前に、大きな曲がり角を迎えたイスラエルのいまと中東和平の行方を描く。