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放送内容

歴史・紀行

中国文明の謎
第2集
漢字誕生 王朝交代の秘密

初回放送

総合 2012年11月11日(日)
午後9時00分~9時49分 総合

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今からおよそ三千年前、最古の漢字が生まれた。「殷」によって発明された「甲骨文字」である。それは、今とは全く異なる使い方をされた文字だった。「殷」は、雨乞から戦争の時期まであらゆることを文字を刻んだ甲羅や骨のヒビ割れで占った。その占いで神との対話のために用いられたのが漢字だったのである。ところが漢字は、あるときを境に劇的に使用法を変え、秘められた力を発揮するようになる。節目にあったのは古代最大の天下分け目の決戦。「殷」との戦いに勝利した新しい王朝「周」は、漢字を多部族との「契約」に使用するという発想の転換をした。言葉の違う部族でも見れば意味が分かる「表意文字」である漢字は瞬く間に広がって行った。やがて、大陸の広範囲に、言葉や文化の違う人々であっても同じ漢字を共有する文化圏が形成されていった。

放送を終えて

最古の漢字、甲骨文字を取材していて驚いたこと。それは「書き損じ」が無いことでした。亀の甲羅や牛の骨など凹凸の多い素材に刻んでいるにも関わらず、彫り間違いが見られない。殷の文字の彫り手の腕前に驚嘆すると共に、神のための文字であるから、きっとミスの許されない命がけの現場だったのだろう、と空恐ろしい気になりました。
この“命がけ”の漢字がいかにして、ふだんの生活に使われるものになったのか。このいわば「漢字の革命」が今回の大きなテーマでした。そこには殷から周への王朝交代を生んだ激戦があり、そして神のための文字だった漢字を、人との契約に使うという、周による発想の大転換がありました。
たとえば中国語が発音できなくても「麻婆豆腐」と書ければ注文できるように、漢字が持つ、話し言葉の違いを超えて意志を疎通できる力。それは周によって発見された力です。発明者(殷)と普及者(周)、どちらが偉いというのは常に問われるものですが、漢字に関しては、普及者である周がいなければ廃れていたわけですから、周の役割は極めて大きいものでした。
その一方で、漢字には今も殷の時代の記憶が残っています。たとえば子どもに名前を付ける時。この番組の取材中に子どもが生まれた私はまさに“命がけ”で一文字一文字と取り組みました。ふだん何気なく使う文字も、よくよく見ると、深い意味が見えてくる。漢字は、本当に懐の深い文字です。
放送後、うれしかったのは、「漢字を使えるありがたみを感じた」という声を多く頂いたことでした。いま私たちが使う漢字の中に秘められた、漢字黎明期の、古代の記憶。それを感じ取って頂けたら幸いです。

ディレクター 阿部修英

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