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放送内容

文化・芸術・エンターテインメント

新生 歌舞伎座
檜(ひのき)舞台にかける男たち

初回放送

総合 2013年5月5日(日)
午後9時00分~9時49分 総合

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平成25年4月2日、3年の歳月を経て、東京・東銀座に歌舞伎座が新開場した。日本が世界に誇る伝統芸能の新たな舞台が誕生する慶事であると同時に、その柿葺落(こけらおとし)興行は中村勘三郎、市川團十郎というスターを相次いで失った歌舞伎界にとって、沈滞ムードを払拭するためにも、失敗の許されない一大イベントである。
今度の歌舞伎座の建物は、5代目。歌舞伎の殿堂として世界的にも知られた先代の歌舞伎座の伝統を出来る限り踏襲しながら、現代にマッチした劇場として、新しい歴史を刻んでいくことになる。日本を代表する建築家や舞台照明のプロたちが渾身の仕上げに心血を注ぐ一方、現在の歌舞伎界を代表する錚々たる俳優陣が得意の演目で檜舞台を飾る。
番組では、3年間にわたる壮大な建築と、顔合わせから始まって稽古、本番と続く1か月の?葺落興行を丹念に追う。明治22年以来、同じ場所で125年続く歌舞伎座の存在とは何かを見つめながら、新しい歌舞伎座に関わる様々な人々に焦点をあて、柿葺落興行を乗り切るまでの道のりを描いてゆく。

放送を終えて

歌舞伎座さよなら公演の取材をはじめたのが、2009年1月。それから足かけ5年、
歌舞伎座の「閉場」「解体」「建築」「新開場」と見つめてきた。
歌舞伎座が無い3年間、歌舞伎はいやおうのない危機に直面した。中村富十郎、中村芝翫、中村雀右衛門という三名優の死。震災の余波での観客減少。そして新開場を目前に控えての、中村勘三郎、市川團十郎の相次ぐ悲報。中でも勘三郎、團十郎の死は、歌舞伎を知らない世間一般の人にも、歌舞伎そして歌舞伎座とはどういうものなのかを知らしめた。まさに皮肉な出来事である。
今回の「Nスペ」では、いろいろな意味で注目を浴びた新生・歌舞伎座の船出をいかに描くかに腐心した。簡単には歌舞伎座を「新居」に見立て、その新居に歌舞伎俳優を始め、さまざまな人が集い、暮らしていくうちに、どのような風合いが出てくるかに迫った。
たかが1か月、されど1か月の?葺落(こけらおとし)四月大歌舞伎ではあったが、俳優、裏方、そして観客が3年ぶりに歌舞伎座で一体となった重厚感は誰よりも自分が一番感じていた。
番組上は紹介しきれなかったが、歌舞伎座の建築過程の取材は面白かった。日本一いや世界に誇る劇場を作るのだという明確な認識の下、日本建築の粋が結集していく実感があった。山形の緞通(だんつう)、丹沢の百年ひのき伐採、松阪のひのき加工、京都のどんちょう、神戸の回り舞台、徳島のGRCセメント加工・・・。全国の一級品が徐々に東京・東銀座の歌舞伎座に集められていき、最高の劇場が出来上がっていく。このぜいたくな建築こそ歌舞伎座の歌舞伎座たるゆえんであろう。
私はこれから、この人生を終えるときまで、おそらく歌舞伎座で歌舞伎を見続ける。歌舞伎座に足を運ぶ、そのつどに、この取材の記憶の断片を思い出すであろう。

ディレクター 七海友信

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