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放送内容

災害

シリーズ東日本大震災
震災4年 被災者1万人の声
~復興はどこまで進んだのか~

初回放送

総合 2015年3月8日(日)
午後9時00分~10時13分 総合

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震災から5年間という「集中復興期間」終了まで1年。被災地では、防潮堤や災害公営住宅などハード面の復興は進んできているが、被災者一人一人の「暮らし」を見つめると復興とはほど遠く、今後の展望がなかなか見いだせない人が数多い。今回、NHKでは大学と共同で、被災者への独自の大規模アンケートを実施。その結果、年収200万円以下の人が4割以上を占めるなど生活が苦しい人が多いこと、4割近くの人がPTSDの可能性があることなどがわかった。また、仮設暮らしの長期化が、一人一人の暮らしに重くのしかかり、先行きの見通せない人が多いことも浮かび上がってきた。背景には、水産業などの基幹産業が根こそぎ壊されたり、2万人近い命が失われたりしたことなど、東日本大震災特有の問題がある。
暮らしをめぐる「震災4年」の実態をつぶさにとらえ、今後の復興に何が必要なのか考える。

放送を終えて

番組の主軸となった被災者1万人のアンケート。今も避難生活を余儀なくされている23万人からすればほんの一握りということになりますが、この23分の1の方々に出会えたことは、奇跡のようなことでした。
その理由のひとつは、アンケートを配布するということ自体が極めて困難であったことです。今回の調査は、プレハブの仮設住宅だけではなく、より数の多い“みなし仮設”(自治体が民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅として提供する)の方々の声も聞き届けるということを目標にスタートしました。しかし、みなし仮設住宅となると所在が知れず、アンケートを届ける術はありません。そこで、結果的には市町村ひとつひとつにご協力を仰ぐということになりました。岩手・宮城・福島あわせて50近い町々に電話をかけ、調査の主旨を伝え配布の可否・方法をご相談するということを一カ月以上続けました。しかしそこで知ったのは、被災地ではこの4年、アンケートの嵐で、住民の方々は疲れ切っていること。そのため、市町村もアンケートには極めて慎重であるということでした。そんな中で、最終的には32市町村、5万5000世帯あまりへの配布ができたということは、奇跡というべきことでした。
もうひとつの奇跡は、100近い質問項目に、回答者の方々が辛抱強く付き合って下さったことです。今回のアンケートは、被災の状況から現在の住まい、仕事、家族関係、心身の健康状態など、生活の在り方全般を事細かに尋ねるものでした。量が多いばかりでなく、「震災前後の年収」や「貯蓄」「ローン」の有無、「生きているのが辛いと感じる」ことはあるかなど、質問にはぶしつけに感じる項目もありました。しかし、1万人の方々がそれに答え、なかには、この4年の暮らしや今の心境を打ち明けて下さる方も少なくありませんでした。放送局という第三者の立場で、行政の調査では聞きえないことを尋ねた今回の調査だからこそ、被災者の方々の心根に触れることができた部分があったのかもしれません。
もちろん、アンケートはその作成から分析に至るまで、早稲田大学などの協力がなければ実現は不可能でした。改めて感謝申し上げたいと思います。
今回の放送でお伝えできたのは、そうした声のほんの一部です。“被災するとはどういうことか”収入が減り、家族が引き裂かれ、心身が消耗しても、天災である限り誰が補償してくれる訳でもないという現実。やりどころのない憤りのようなものが、アンケートとともにずっしりと残っています。被災地の復興のためにも、またいつか来る災害へ備えるためにも、1万人の声を重く受け止め、伝え続けていく必要があると強く感じています。

(仙台局・制作 藤井栄里子)

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