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放送内容

社会

そしてバスは暴走した

初回放送

総合 2016年4月30日(土)
午後9時00分~9時49分 総合

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13人の大学生の命を奪った、1月のスキーバス事故。遺族のひとりは、「事故は日本が抱えるひずみによって発生したように思えてなりません」と語った。これまでも、大阪や群馬で、乗客や乗員が死亡する事故が起き、その度に規制が強化されてきたはずだった。それにもかかわらず、事故はまた起きてしまった。NHKは今回、貸し切りバスの現場にカメラを入れ、業界の今をつぶさに記録した。そこから見えてきたのは、運転手不足から、高齢のドライバーが過酷な勤務を担っている現実、そして、利益優先で安全対策を怠る会社が跋扈する実態・・・。なぜ、こうした事態に至ったのか。業界の姿と私たちの社会のあり方を見つめる。

放送を終えて

 学生時代はもとより、社会人になっても頻繁にバスを使っていた私にとって、1月に長野県軽井沢町で起きたスキーバスの事故は痛ましく、衝撃でもあり、「また大きなバス事故が起きてしまった」という思いを強く持ちました。4年前に関越自動車道の壁にバスが衝突した事故の印象が強く心に残っていたからです。なぜ、こうもバスの重大事故が繰り返されるのか、その背景に何があるのか。この3か月間、記者と共に、バス会社やドライバー、行政など関係者に取材を重ね、放送に至りました。
 取材を通して実感したのは、業界に蔓延する安全軽視の体質です。事故を起こしたバス会社は、「運行管理者」の資格を持つ人物が、ずさんな運営を繰り返していました。異業種から参入した経営陣は、運行管理者に任せきりで、その状態を是正しませんでした。深刻なのは、こうしたバス会社が少なくないことです。取材に応じた中小のバス会社は、法令を遵守した運行ができるのは体制的にも設備的にも一部の企業だけ、と現実を語りました。
 法令違反の有無をチェックするのは国の監査ですが、それを担う人員が不足しています。外国人観光客が急増し、バスの需要が高まる中、事業の許可取り消しやバスの使用停止などの処分をどこまで強化できるのか、懸念を示す関係者もいました。問題点の多くは、過去の事故でも指摘されていたのですが、業界の体質は根本的に改善されることはなく、その中で今回の事故は起きたのだと思います。
 事故から間もない中で、複数のご遺族と怪我をされた方々が撮影に応じて下さいました。「事故を繰り返してほしくない」という思いからでした。この思いをバス業界、そして社会がどう受け止め、対策を打っていけるのか。やらなければいけないことは山積しています。

(報道局ディレクター 多田篤司)

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