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第9回 2012年7月13日更新

02 MAKING OF THE MIRACLE BODY KOHEI UCHIMURA

第2回  内村航平 驚異の“空中感覚”

ロンドンオリンピックを控え、体操・個人総合で最も金メダルに近いといわれている男・内村航平。そのすべては「体操が好き」というただひたすらに純粋な思いから始まっていた。幼いころから寝ても冷めても体操に明け暮れ、体操のことばかり考えてきた結果、内村航平の体には何が起きたのか。ハイスピードカメラやモーションキャプチャーなどあらゆる最新のシステムを駆使し、内村の驚異の肉体とその「空中感覚」を解き明かしていく。

Check Point 1 内村の技を多角的にとらえる

  • モーションキャプチャーの装置装着
    今回はスポーツ科学、脳科学、認知心理学、宇宙医学など幅広い面から内村の肉体を分析。“何を調べれば何がわかり、それが競技とどう関係があるのか”というスポーツ科学の研究は、陸上や水泳といった分野では比較的進んでいるが、体操ではゼロに等しい。そこで各分野の研究者に意見を求めたほか、映像や内村本人の主観的な証言を絡めてその本質に切り込み、彼の優れた空中感覚に迫る。
  • 特別に設置された鉄棒と内村選手@東宝スタジオ
    映画でおなじみ「東宝」の撮影用スタジオ。日本でも有数の大きさを誇るこの大規模なスタジオに、試合と同じ鉄棒を完全再現した。ここで内村には鉄棒の技と着地までを行ってもらい、その様子を撮影する。実時間にすると彼の演技はわずか1秒や2秒の世界。そのときの内村の肉体の状態をつぶさに観察するため、多くの機材とスタッフが集結した。
  • 東宝スタジオにずらりと設置されたカメラ
    スタジオに用意されたカメラは、総数40台にのぼる。うち9台はハイスピードカメラで、ほぼ日本中のハイスピードカメラをかき集めたといっても過言ではない。さらに映画「マトリックス」でも使用された特殊なシステムを組み合わせ、あらゆる角度から内村の技と最後のフィニッシュ部分をとらえた。

Check Point 2 「人生の99パーセントが体操」、そう言い切る内村の体操人生

  • 内村選手の幼少期
    両親は体操選手。内村選手自身は高校から上京し、名門クラブに所属する。大学、そして社会人とずっと体操を続けてきて現在に到るが、まわりのスタッフ、コーチ、監督、誰に聞いても「本当に彼は体操が好きだ」という回答が。
  • 北京五輪に出場
    当時19歳。内村選手はチーム最年少での出場だったが、団体と個人総合でふたつの銀メダル獲得を果たす。世間的にはまだ天才肌の印象が強かったが、そこに至るまでは、基礎練習を徹底的に繰り返すなど、並々ならぬ努力があった。北京の後、その努力家ぶりは一層加速。誰よりも早く体育館に来て、誰よりも練習をこなし、他の選手が「あんなことできない」といわれるような練習を数多くこなしている。
  • 最近の大会での演技中の内村選手
    今年、23歳でロンドンオリンピックを迎える内村選手。大会を目前に、“何をいつまでにどうやってどこまで仕上げるか”と全て逆算して体の状態を仕上げていく。体操はメンタルが響くスポーツだが、彼はスタッフに「緊張したことがない」「プレッシャーはかけてもらえればもらえるほど盛りあがる」と語る。

地上を宇宙に変えた少年、その努力と挑戦の日々

鵜殿良ディレクター

初めてロケで内村選手が出場する大会を見に行った日。試合会場でハイスピードカメラをまわしたカメラマンと一緒に、初めて彼の演技を生で観ました。そのとき、私は自分が「あ、これは宇宙遊泳だね」と思わず呟いたのを覚えています。それぐらい彼の演技はすごかった。まるでそこだけ異空間のようだったんです。そこから1年半かけて追いかけ、彼のすごさとそれを実現するまでの努力を目の当たりにしてきました。
彼の人生はほぼすべて体操で彩られています。体操がうまくいっていれば笑顔がみられるし、そうでなければ表情が曇ってしまう。試合に立つときもそうです。たとえ1位をとれても自分で自分を認められる演技をしなければ納得ができない。逆にいうと本人以外はわからない細部にわたる感覚まで自分の理想とする演技さえできれば、きっとその結果は後からついてくるというスタンスなのでしょう。
内村選手がここまで体操を続け、たゆまぬ努力で前を見続けるのはひとえに「体操が好き」という気持ちに尽きると思います。それは取材を通じて彼のまわりの人々みんなが口をそろえて言っていましたし、僕自身も強く感じました。番組の中でも出てきますが、体操に“蹴上がり”という基本の技があるんです。小学校2~3年生の内村選手は、この技が出来るのが同級生のなかで一番遅かったとのこと。それゆえに練習を重ねて出来るようになったときの喜びや達成感はすごかったようです。状況はまったく違いますが、そのときに似た気持ちを今でも常に追い求めているのかなと感じますね。例えば小さな子どもが何か好きなものをひとつ見つけて、それに本当に無心で熱中したときには無限の可能性が開けるんだということを、内村選手の姿を通してお伝えできればとも思っています。

03 MAKING OF THE MIRACLE BODY MARATHON

第3回  マラソン最強軍団 持久力の限界に挑む

男子マラソンで2時間3分台の記録を持つハイレ・ゲブレシラシエ、パトリック・マカウ、ウィルソン・キプサング。なぜ彼らはそんなに強いのか。心肺機能や持久力といった運動生理学の研究だけではもはや説明がつかなくなってきた強さの秘密を探るべく、3選手の走りをハイスピードカメラで撮影、徹底的に分析を行いました。科学の視点で掘り下げたミラクルポイントを探ります。

Check Point 1 いかにパワーを使わないか!省エネ走法に迫る

  • マカウ選手の走りをハイスピードカメラで撮影。上下動やムダな動きのない実にフラットな走りだということがわかった。
  • 山本亮選手(ロンドン五輪マラソン日本代表)は、ハイスピードカメラの映像を見て、アフリカの選手と自分の走りの違いがよくわかったそうだ。もともと腰高の彼らが力を入れずにラクに走ることで、さらに大きなストライドを稼いでいることに感心していた。
  • ハイスピードカメラや動作解析装置によって徹底的に走り方を分析。短距離界では当たり前のように行われていたが、世界トップレベルのマラソン選手の走りを撮影したのは初めてのことだ。
  • ゲブレシラシエ選手もマカウ選手もキプサング選手も、身体感覚や経験則でわかっていた自分の強さや速さ、それがハイスピードカメラの映像で科学的に証明されることになった。

Check Point 2 心肺機能や血液濃度も入念にチェック!

  • マカウ選手とゲブレシラシエ選手は、初めて持久力や心肺機能を測定した。どれだけの酸素を取り込むことができるのかという最大酸素摂取量をはじめ、運動中の心電図や血圧、心拍数の変化などのデータも測定。
  • 心臓が血液を動脈に送り込む能力などを計算するためゲブレシラシエ選手にMRI測定を行った。
  • MRI画像で彼らの心臓の大きさに驚く。
  • レース後には血液に酸素を送るヘモグロビン濃度の検査なども行った。

疲れにくい省エネ走法で 笑いながら余裕のゴール!

善家賢ディレクター

男子マラソンの歴代公認記録トップ100位をほぼ独占するのがケニアとエチオピアの選手です。初めて2時間3分台を記録したエチオピアのゲブレシラシエ選手、現在の世界記録保持者であるケニアのマカウ選手、そしてマカウ選手の記録に4秒差と肉薄するキプサング選手。彼らは42.195キロを2時間3分台で走りますが、ゴール後に倒れるどころか笑っていました。マカウ選手はレース後のインタビューにも応じてくれたほどです。彼らは僕たちが考えている体力とは次元が違うのか。そんな思いが番組を作るうえでのモチベーションになりました。
マラソンを走るうえで何が重要なのか、真っ先に思い浮かべるのは持久力です。そこで調べてみると、彼らの心肺機能がすごいことはいうまでもないのですが、それ以上に疲れないマラソンをしていることがわかってきました。なるべく酸素を消費しない効率の良さ、いかにエネルギーを使わないかということに比重が置かれていたのです。専門用語でいう“ランニングエコノミー”、走りの経済性です。世界のトップのよい走りは、疲れにくい省エネ走法だったのです。
しかし、そのためにはたゆまぬトレーニングが欠かせません。マカウ選手はおよそ2万3千~4千歩で42.195キロを走ります。その一歩一歩がトレーニングの結晶なのです。ただ単に生まれながらに優れた能力を獲得しているわけではなく、一歩一歩の積み重ね、途方もない努力によって獲得した走りだったのです。それは科学的な分析によって初めてわかることでした。感動のドラマを生み出しているメカニズムを科学の視点で掘り下げていくことで、まったく違った感動に出会える。番組では、科学的にどこがミラクルなのかというポイントも紹介します。ロンドンオリンピックのマラソンレースを見るときに、そのことを思い出しながら選手の状態を想像していただければ、2時間あまりのレースがよりいっそう楽しめるかもしれませんね。

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