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第9回 2012年7月13日更新

MAKING OF THE MIRACLE BODY ミラクルボディ

開幕間近のロンドンオリンピックで活躍を期待されるトップアスリートたち。彼らの肉体を最新の特撮技術で徹底分析、驚異的なパフォーマンスの秘密に迫る「ミラクルボディー」。制作担当スタッフに聞いた各回の注目ポイントや見どころを紹介します。

誕生秘話 木村功部長(社会番組部)

誰も見たことのない瞬間を 誰も撮ったことのないカメラで!

2008年と2010年の二度にわたるシリーズに関わりましたが、最初から決まったスタイルやフォーマットがあったわけではありません。ちょうど、1秒間を何倍にも引き延ばせるハイスピードカメラが開発されたことによって、たとえばスポーツの一瞬という時間を撮影し解剖することで、「人はどこまで早く走れるのか、どれだけ高く跳べるのか」といった人間の能力の可能性を探っていけるのではないかという話が出てきたのです。そこで、世界のトップアスリートにターゲットを絞り、そのパフォーマンスを最新の映像で撮影。
パフォーマンスの秘密を解き明かしていったら、何かすごいものが見つかるのではないかという発想で「ミラクルボディー」がスタートしました。
新しい番組を作ろうということで、ディレクター、カメラマンのグループなどが力を合わせて取り組んだのですが、たとえば速く走れる秘密をハイスピードカメラで撮るといっても、どこに秘密があるのか、どこをどう撮れば解き明かすことができるのか。試行錯誤で撮影方法や撮影ポイントを探っていきました。速く泳ぐ秘密を撮るために水中と水上の二つを同時に撮ることができる撮影器具なども開発しました。
そうやって撮影した映像の意味を解釈していくという作業が次の段階ですが、誰も見たことのない瞬間を、誰も撮ったことのないカメラで撮った映像ですから、分析にも新たな視点が必要でした。それというのも、それまで研究されてきたことを映像で裏付けるのではなく、映像から見つけたことの意味を考えていく。まったく新しいものを、撮影チーム、専門家、アスリート本人と一緒になって解き明かし、見つけていくという作業だったからです。世界一の人たちの肉体的な能力のすごさを描いてはいるけれど、それだけではなく彼らのメンタル、心の部分にまで迫っていきました。弱い自分の心にどう立ち向かうのかとか、恐怖をどうやって乗り越えるのかということも人間の能力の一つであり可能性だからです。取材を重ねることによってディレクターが、さまざまなものを見つけ出し、それを形にしていく。それが「ミラクルボディー」です。

関 英祐プロデューサー そして今年

2012年、オリンピックイヤー メダルに最も近い男たちに迫る

3本とも共通して言えるのは、トップアスリートを形成する要素は肉体と技術だけではないということ。『ミラクルボディー』では、その肉体に隠された葛藤や苦悩、それを乗り越える精神力まで含めて深く掘りさげていくという思いで制作を進めました。
1本目のウサインボルト選手は世界にインパクトを与えた人物で、間違いなくロンドンオリンピック最大のスターです。また、日本人から見ても、“人類が持つ可能性を一番広げてくれる男”ですが、彼を最初に持ってきた理由はそれだけではありません。彼の肉体には、人間の底知れない可能性を感じさせるドラマが潜んでいたからです。
そして2本目の内村航平選手。今までこの番組は7本やってきましたが、実は日本人アスリートはひとりもいませんでした。内村選手は体操・個人総合で金メダル確実といわれ、世界選手権三連覇という偉業をなしとげました。そんな彼なら日本人という枠を超えて、紛れもない世界のトップアスリートとして取り上げることができるんじゃないかということで、登場が決まりました。最後はアフリカの最強のマラソン軍団。これまでシリーズで取り上げていなかった“持久力”の秘密に照準をあてています。人間の能力の中で重要なものでありながら、これまで十分に解明されていなかった能力に迫ってみたいと考えました。映像的にも表現するのが難しい領域でしたが、世界トップクラスのマラソン選手に隠された“秘密”を解明できたら、今までにない番組が出来るのでは?と考えました。きっとこの番組をご覧いただいたあとにオリンピックの勝負の瞬間を見てみると、今までとはまったく違う、もっと深い楽しみ方や応援の仕方を発見していただけるのでは?と思いますね。
ぜひ楽しんでいただけると幸いです。

01 MAKING OF THE MIRACLE BODY USAIN BOLT

第1回  ウサイン・ボルト 人類最速の秘密

昨年の陸上世界選手権でフライング失格となった日からわずか10日後。ロンドンにて世界初、最新機器を駆使して、レース中継では見られない真後ろや真正面といった角度から、世界最速の男ウサイン・ボルトを撮影することに成功。その数々のデータから、肉眼では捉えられない彼の特殊なフォームが明らかになりました!また陸上人生におけるボルトの肉体的、そして精神的な挫折にも注目し、「人類最速のスピードで走る謎」をつぶさに探っていきます!

Check Point 1 世界最速記録、陸上100メートル9秒58をとらえる!

  • ゼロからいっきに加速出来るように改造した電動カート(超ハイスピードカメラを搭載)。併走撮影が可能となった。これには車好きのボルトも大喜びだったとか。
  • 自ら「映像を見せてほしい」と言うボルト。データに対する興味が高く、その積極的な態度から自分の走りに真摯に向き合う姿勢がうかがえる。
  • 1秒間を33倍に延ばして撮影できる超ハイスピードカメラ

Check Point 2 比較で発見!パウエルとボルト

  • 同じジャマイカ選手で前世界記録保持者のアサファ・パウエル。
  • 陸上理論に沿った走りを追求するアメリカとはまったく対照的な養成方法をしているジャマイカ。
    そこにボルトはもちろん、ジャマイカ選手の強さの秘密が…?!
  • 正面からハイスピードカメラで撮影した映像でパウエルとの走りを比較すると、ボルトの肩がかなり激しく揺れていることがわかった。

計りしれない肉体の可能性をハンデのあるボルトが体現!

小泉世里子ディレクター

ミラクルシリーズすべてに関わってきた小泉世里子ディレクター。今回、わずか9秒58の間にウサイン・ボルトの体で何が起きているのか、その秘密に迫っています。
「今まで解明されてこなかったことに挑戦するわけですから、最新の撮影機材を使うにしても、どのアングルから撮影するか、またどのような科学的な測定をしていくのかが問われます。新しい映像表現のために、技術スタッフに機材開発をしてもらったりと、スタッフ全員が一丸となって完成した作品。そういう意味ではアスリート同様、進化し続けている番組ですね(笑)」。
走るコンディションが整っている状態でなければ“速さの謎に迫れない”と、撮影は昨年の9月、レース真っ只中のロンドンで行われました。「ボルト自身、生まれて初めてモーションキャプチャーをつけて走ったので、最初は緊張していた様です。ただ彼は自分の走りに真剣に向き合っている人。データ解析にすごく興味を持ってくれたので、取材には積極的に関わってくれました。とても雰囲気の良い現場だったのですが、撮影は本当に1回勝負。前日、前々日に別の選手を使って何度もリハーサルを繰り返しました」
収集したデータの分析に要した期間は9か月。そこから見えてきたものは…。
「彼は実は生まれながらの病気を抱えているのですが、それが原因で走っているときに体が特徴的な動きをすることを、今回、番組のデータ解析が明らかにしました。それは既存の陸上理論に反したユニークな動きです。その動きは彼の超越したスピードを生む反面、筋肉に大きな負荷をかけてしまい、故障の原因にもなってきたことがわかりました。 ボルトはその故障によって結果を出せず、世間からのバッシングを受けた時期もありました。肉体、そして心の挫折があったからこそ、自分の走りと真剣に向き合い、その可能性を強く信じ続けているのだと思います。“奇跡の肉体”とは生まれながらのものではなく、強い心が作用してこそ生まれるのだと、今回強く感じました」
ボルトが持つ肉体的困難とは?そして陸上理論に反するユニークな走法とは?人間の心と体が生み出すミラクルに迫ります!
「ボルトは今、苦手としているスタートを改良しています。ロンドン五輪ではぜひ最初の2秒間に注目してみてください!」

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