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人体 ミクロの大冒険

  • プロローグ ようこそ! 細胞のミラクルワールドへ 2014年3月29日(土)午後9時00分~9時49分
  • 第1回 あなたを創る! 細胞のスーパーパワー 2014年3月30日(日)午後9時00分~9時49分
  • 第2回 あなたを変身させる! 細胞が出す“魔法の薬” 2014年4月5日(土) 午後9時00分~9時49分総合
  • 第3回 あなたを変身させる! 老いと戦う細胞 2014年4月6日(日) 午後9時00分~9時49分総合

400年前、ガリレオは望遠鏡で木星の衛星を発見したことから新しい天文学を打ち立てました。いま、それと同じようなことが人体のミクロの世界で起きています。これまで想像するしかなかった細胞の活動がバイオイメージング技術によって鮮明に捉えられたことで、私たちを生かしている仕組みの詳細が明らかになってきているのです。その仕組みの主役は細胞。これまでは「単なる部品」と考えられてきた細胞が経験を刻み、環境に対応し、いわば人生を紡いでいく主体的な存在だということがわかってきているのです。高精細なCGが再現する人体の世界、その見どころを高間大介エグゼクティブプロデューサーに聞きました。

このシリーズ「人体 ミクロの大冒険」では、映像化によって人体のミクロの世界のディテールを見ることができます。それが人体に対する理解を深めることであり、未来を探ることになります。番組の案内役には、iPS細胞でノーベル賞を受賞された山中伸弥さんにも参加していただいています。今回の映像を見た山中先生も「驚いた」「初めて見た」と何度も感心してくださいました。
シリーズはプロローグと1回から3回までの全4回です。

高間大介 エグゼクティブプロデューサー

プロローグ ようこそ!細胞のミラクルワールドへ

バイオイメージングはレーザー顕微鏡や蛍光タンパク質の組み込み技術などを使って、生体のなかで活動する細胞の動きを映像化する技術です。そのデータをもとに映像化したのが今回の人体CGで、体内で細胞が繰り広げるストーリーをリアルな映像で見ることができる。それがこのシリーズの見どころのひとつです。

プロローグでは、人体を細胞で見ることのおもしろさを味わっていただけるはずです。キャッチコピーは「あなたは、あなたのことを何も知らない」。ちょっと大きく出ましたが、プロローグを見ていただくと、知っているつもりだったのに、実像を詳細に見るとまったく知らなかったという事実に次々と出会えると思います。その一例が受精です。受精といえば、「卵子と精子が出会うこと」と単純に思いがちですが、細胞世界でいえば、もうひとつ、卵胞細胞という“第3の細胞”の存在が欠かせません。思春期、片方の卵巣にはおそよ20万個の卵子のモト(卵母細胞)が収められていますが、、その1個1個は卵胞細胞という別の細胞で覆われているのです。なぜ、そんな覆いが必要なのか、じつは卵子が眠る卵巣は出口がありません。卵子が卵巣から子宮へと移動する排卵は、月におよそ1回というハイペースで起きる出来事なのに、そのたびにいちいち卵巣の壁を突き破らなくてはいけないのです。その突破のきっかけになる役が卵胞細胞です。卵胞細胞などがつくる卵子を囲む膜は排卵に先立っておよそ1000倍にも膨れあがり、卵子をなかに抱えた状態で移動して壁を押し割り、卵子をそっと子宮へと送り出すのです。そんな“見たこともない”体内のドラマを堪能していただけると思います。

しかも、そうしたドラマは単に目新しいというだけに留まりません。私たちの命がいかに大切にされているかを教えてくれる貴重な機会でもあります。

卵巣に出口がないと、ウイルスなどの侵入を防ぐ効果があるのでしょう。大事な命のタネを守るためにはクローズのほうがいい。そんな仕組みのなかで、私たちの命は守られ、私たちのもとに届けられたのです。そして、その仕組みを駆動してくれているのは、知られざる細胞の連携プレーです。その連携プレーなしに、私たちは生きていくことができないという事実をぜひ味わっていただきたいと思います。

第1回 あなたを創る! 細胞のスーパーパワー

誕生からの成長、その裏側を見る第1回。最初に驚いていただくのは、胎盤のなかを再現した映像です。その再現映像を見た人はみな、「これが体内なの?」と必ず尋ねます。胎盤のなかには、大地に根を張っている大樹のような組織がいくつもそびえているのです。母親の血液で満たされた赤い空間のなかに枝葉のような構造を伸ばしている組織は一見すると、まるで夜桜のようです。

この組織はコチルドンといって、赤ちゃんの毛細血管が内側を通っています。その表面で酸素や栄養を受け取り、根っこへと送り込んでいきます。その根っこが束ねられたのがへその緒なのです。

こんな複雑な形になっているのは、母子のあいだで酸素や栄養は自由にやりとりするけれど、血液そのものは混ざってはいけない(母と子で血液型が違うことは珍しくありません)という少し矛盾した事情があるからです。その解決策が夜桜にも似た組織なのです。空気中に葉を繁らせて二酸化炭素や日光を受け取る仕組みと、母親の血液中に毛細血管を広げて酸素や栄養を受け渡す仕組みが似通うのは、ある種の合理性があるのかもしれません。

最新研究からは、母親が妊娠中にダイエットをすると、生まれてくる子が太りやすくなることもわかってきました。血液が栄養不足だということは、生まれ出る世界が食糧不足だと判断した赤ちゃんの細胞(間葉系幹細胞という細胞です)が脂肪細胞に多く変化するのです。遺伝子は受精の瞬間に決まってしまいますが、生きていく環境は千差万別、成長に合わせても変わっていきます。つまり、生きていく環境に合わせて変化するのが細胞の役割ということです。

第2回 あなたを変身させる! 細胞が出す“魔法の薬”

細胞を変化させるホルモンに迫る第2回。そのためにまず脳のなかに入っていきます。脳のなかにある細胞といえば、神経細胞と答える人が多いでしょう。じつはそれだけではありません。脳の下の部分を中心に、内分泌細胞と呼ばれる細胞が潜んでいます。その働きはホルモンをつくりだし、血液中などに放出すること。このホルモンが細胞社会におけるメッセンジャー。ひとつの細胞が遠く離れた細胞に「変われ!」という指示を伝えます。

そのダイナミックな働きをもっともよく見ることができるのは、思春期です。思春期の変化は、ホルモンを仲立ちにした細胞社会の一斉変化です。少女から女性、少年から男性へという変化の陰で、細胞たちがどのように連動して変化していくのか、ホルモンを追いかける体内ツアーで辿っていきます。

その旅のひとつのクライマックスが、脳です。脳をつくる神経細胞もホルモンの影響を受けて変化します。神経細胞の働きが変わるということは、私たちの心も変わるということです。

ホルモンという顆粒状の物質が心を操るという不思議な出来事は、私たち自身の脳で起きていることです。それだけに興味深く思っていただけるはずです。

第3回 あなたを変身させる! 老いと戦う細胞

最終回は老化。これまで老化といえば、身体のあちこちが衰えていくことと漠然と考えられてきました。ところが、バイオイメージングによって、私たちの体内には、いち早く老化する細胞があること、そして、その細胞が周りの臓器や組織に老化をもたらしていることがわかってきました。

その細胞とは何か。

じつは、免疫細胞です。なかでも、免疫システムの司令塔ともいうべきT細胞は、20代では生産がほぼ終わっているために、40代にもなれば衰えを見せはじめます。身体を守るべき免疫の司令塔が衰えれば、さまざまな病気に罹りやすくなるのも当然といえます。

なぜ、T細胞の生産は早々に終わってしまうのか。じつは、つくられたT細胞のうち、実際に活躍するのは5%未満。残りの95%以上は成績不良のために途中で自滅させられます。その過酷なふるい分けの現場が、心臓の上にある胸腺という場所です。今回は、その胸腺内部で繰り広げられている厳しい選抜の様子も映像化しました。

このように免疫は司令塔の95%以上が自滅するという非常に高コストなシステムなので、20歳までに大量につくられたあとは実質的に閉鎖されてしまいます。免疫という細胞社会の仕組みからみれば、20代を過ぎれば「余生」ということなのです。

では、私たちにどんな選択肢があるのか。最終回ではそれも探っていきます。

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