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祇園祭 ~至宝に秘められた謎~ 2014年7月23日(水)総合 午後7:30~8:43

難祇園祭を豪華絢爛(けんらん)に彩る山鉾巡行(やまほこじゅんこう)。「動く美術館」といわれる山鉾(やまほこ)を飾る世界の貴重な染織品の多くは、今から数百年前に日本に入ってきたものです。至宝が秘めた謎とロマン、それらを守り続けた京都の町衆の思いなどに迫ります。京都放送局 チーフ・ディレクター 久保地真紀

物語は1枚のタペストリーから

古都・京都の夏を告げる祇園祭のハイライトとなるのが山鉾巡行です。この山鉾は巡行を前に1年に一度だけ各町内の蔵から出して組み立て飾り付けを行い、京都の中心部の路地に建ち並びます。

1100年以上の伝統を誇る祭にふさわしく懸装品と呼ばれる山鉾の飾りは豪華絢爛な一級の美術品ばかり。それも江戸時代に海外からやってきた高価な品がほとんどです。それらは鎖国時代にどのようにして日本に入り、古都・京都にたどり着いたのか。さまざまな説が唱えられてはいるものの、ほとんど記録が残されていないため謎は解明されていませんでした。

たとえば番組で最初に取り上げるのが、西洋の王様や王妃が織り込まれたタペストリーです。堂々と山鉾を飾るタペストリー、その“織り”の素晴らしさに驚いた老舗の織物会社の方が調べられたり、町の宝に興味を持たれた呉服商の方が私財を投げ打って調査をされたりしたこともあったのですが、いつどこからどんな経緯でやってきたものかはわかりませんでした。それが昭和40年代にタペストリーの裏地に隠されていた「B.B」という2文字のアルファベットが発見されたことがヒントになりました。「B.B」というマークはタペストリーの出自を示すもので、ベルギーのブリュッセルで製作されたものだったのです。タペストリーを保存していた町の人たちがベルギーに持ち込み鑑定を受けた結果、16世紀、世界最高のタペストリーの産地だったブリュッセルで作られた5枚一組のシリーズだったことが判明しました。

しかし、王侯貴族が城に飾るような高価なタペストリーがどのように京都にたどり着いたのか。また他の4枚はどうなったのか。18世の終わりに飾られたという記録が残されているだけで、一つの謎は新たな謎を呼ぶことになりました。

その謎に迫るのが、女優の栗山千明さん。三宅民夫アナウンサーとともに他のタペストリーの行方を探していくと、意外なところに同じシリーズの1枚が存在していたことが明らかになったのです。そこから、さまざまな仮説を立てながら京都までの道のりを追っていきます。

祇園祭 ~至宝に秘められた謎~ photo01

祇園祭 ~至宝に秘められた謎~ photo02

時空を超えて17世紀の京都へ

1100年以上の歴史がある祇園祭。室町時代には町衆が競い合ってヨーロッパや中国の染織品を手に入れて山鉾を飾り立て、お祭りが華やかになっていきました。足利義満が世阿弥を連れて見物に来たという記録からも都の名物になっていたことがわかります。

日本の円山応挙の天井画もあれば、ペルシャのシャー(王)が贈り物にしたような染織品まで、海外の専門家が瞠目するほど素晴らしい品々が京都市内のわずか1キロ四方の 山鉾町 ( やまほこちょう ) に保存されています。異国から渡ってきた珍しいものを神様に見せて喜ばせたいという思い、町同士の競い合い、それに加えて単に財力だけではなく目利きであることを大切にした京都の人々の美意識の高さが、「近世の正倉院」という言葉で表現される祇園祭の山鉾を守ってきたのです。

しかし、かつて豪商がいたとはいえ、どうしたらこれほどたくさんの貴重な品々を手に入れることができたのでしょうか。その疑問を解くために、栗山千明さんは三宅アナウンサーとともに時空を超えた旅に出ます。3次元CGで再現した「洛中図」の世界へのタイムトラベルで体験するのは16~17世紀の京都。

かつて、京都はしばしば疫病や洪水に襲われました。そうした災厄から自らの町を守るための祈りをこめて山鉾に飾られたのが珍しい異国の芸術品だったのです。ヨーロッパでは幻の 絨毯 ( じゅうたん ) といわれていた絨毯や、いつの時代に作られたのかわからない不思議な毛織物など、世界中でもここ祇園祭にしか残っていない貴重な織物がいくつもあります。そこから見えてくるのは、失われた異国の文化や見知らぬ民族の息遣い。各山鉾町の土蔵の中で大切に守られてきた懸装品から広がる壮大なロマンに思いを馳せてください。

今年、祇園祭はおよそ半世紀ぶりに昔の姿を取り戻し山鉾巡行と 神輿 ( みこし ) が進む前祭 ( さきまつり ) 後祭 ( あとまつり ) が復活、特別な節目を迎えます。番組では後祭前夜の宵山を生中継、京の町を彩る山鉾、お囃子を奏でる人々なども紹介します。お祭りの幻想的な光景とともに、数百年前を生きた人々が胸おどらせた“異国の美術品”の輝きをお楽しみください。

祇園祭 ~至宝に秘められた謎~ photo03

祇園祭 ~至宝に秘められた謎~ photo04

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