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カンブリア紀の動物たちが躍動するドラマを

制作 植田和貴 チーフ・ディレクター

目が誕生したのは5億年以上前、進化の大爆発が起きたカンブリア紀です。カナダのロッキー山脈には、その当時、海の底で生きていた動物たちの化石が残されている場所がいくつもあり、その中でも3年前に発見されたばかりの発掘地に世界で初めて取材許可を得て入ることができました。もともとは海だったところが隆起して山になった場所で、撮影が追いつかないくらいの勢いで化石がザクザクと出てくることに驚きました。しかも目の形、足の形など、詳細な姿形がよくわかる極上の保存状態の化石ばかり。印象としては「3分に一個、極上の動物化石が見つかる」という感じ。自分はこれまで南米、欧州、アジアなど世界各地の発掘地で撮影をしてきましたが、極上化石がこれ程ハイペースで見つかる発掘地は生まれて初めてだったので、本当に驚きました。

ただ、現場は標高2000mほどの山の上で雨が降りやすく、そうすると発掘が止まってしまいます。その合間を縫っての撮影だったのですが、あまり邪魔をするわけにもいきません。というのは、その場所で発掘ができるのは1年を通してたった2か月なので、研究者にとっても時間との戦いだからです。気を遣いながらの撮影でしたが、非常に魅力的な現場でした。

太古の動物たちが躍動するさまざまな時代の世界を再現する物語の構成を書く際には、古生物の研究者と相談し、できるだけ子どもたちが喜ぶような魅力的な姿形の動物が登場するよう心がけました。例えばカンブリア紀の再現では5つ目やトゲだらけの動物、ジュラ紀では肩に巨大な剣が生えた不思議な恐竜を登場させることにしました。しかし、それらを実際に形にするまでが一苦労。映像デザイナーやCG・VFXのスタッフ、そして研究者と段階ごとに確認し修正するという作業を重ねました。たとえば、第1集に登場したアノマロカリス。動物時代の幕開けの王者ですが、ある程度CGモデルができた段階で研究者に見せ、「本体部分はナマコみたいで、左右のパドルはもっと甘エビの薄い殻のような感じ」といったアドバイスを聞き、CGモデルを修正していきました。

更に今回の番組では、化石研究から再現した古代世界だけでなく、DNA研究が明らかにした「私達の祖先に起きた大躍進の物語」の再現にも挑んでいます。しかしDNAには祖先が経験した事件の概要は刻まれていても、当時の祖先の姿の情報までは刻まれていません。そこは化石研究者に助言をもらって祖先の姿を推定、太古に祖先が経験した大躍進のドラマをCGで再現しました。こうして苦労して完成させた、さまざまな時代の古代世界が次々と登場するのが「生命大躍進」の魅力です。とにかくワクワクしながら家族で見て頂きたいと思っています。

古代動物やDNAのビジュアルをリアルに

映像デザイン 荒川靖彦 デザイナー

番組全体のビジュアルイメージを作るのが映像デザインの仕事で、今回は1本に繋がっていく命のDNAの鎖感、生物の連綿としたつながりを感じられるデザインを作ってほしいとの要望がありました。それが最初に反映されるのが番組のロゴです。生物の大爆発、大躍進を祝福したいという思いから、躍進していく命、DNAがつながっていく様子を喜びをもって見ている。そんな番組全体のトーンを表現するようなロゴを制作チームと試行錯誤を繰り返しながら完成させました。

全体の世界観はディレクターの構成をもとにイメージを広げていきます。また古代動物のキャラクターの姿形も、ディレクターが文字で書いたものを線画で起こし、色を塗ってと段階を経て作りあげます。羽の形や節足動物の節は体のどの部分にあるのかなど、細部を古生物の先生にお聞きしては修正を加えるという作業でした。

アノマロカリスでいえば全部で20枚ぐらい描きました。CGで起こすためには縦横正面と、各方向からの絵が必要です。口もふわっと開いた中に歯が生えていて、そこは横に開くなど、なかなか複雑です。さらに視聴者の方の目に初めて触れる瞬間を大切にしたいので、どんなふうに海の中を歩いたらカッコいいのか、どんな登場の仕方がグッとくるのかなど。もちろん獲物を捕らえる瞬間は一大イベントです。アノマロカリスも命をかけているわけで、そこをどういうアングルでどう撮ったらいい画になるのか。プロデューサー、ディレクターとディスカッションを重ねながら、絵コンテを作っていきました。そしてモデリング作業をするCG・VFXスタッフにバトンタッチしたのです。

古代生物の再現だけではなく、今回は体の中のDNAの変化もCGで描いています。なかなか体の中を実感することはないかと思いますが、手触り感のある細胞やDNAのビジュアル表現にこだわり、実際に体の中で起こったことだということを再現パートと同じくらいのリアリティーをもって伝えるようにしました。

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