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タイムトラベルを体感できる映像のこだわり

CG・VFX 松永孝治

VFXというのはビジュアルエフェクト、視覚効果のことで、映画やテレビドラマでも多く使われている技術です。CGや合成技術を使い、目の前にないものを映像で再現するもので、最近ではNHKの番組でも使われている技術です。しかし今回は、「タイムトラベルを体感でき、あたかも太古の時代に行って見ているかのような映像」というのがプロデューサーの希望で、それを目指して作りました。

古代生物のキャラクターは、デザイナーが描いた絵をCGで一つ一つ形にするモデリングという作業を行います。全部で50体ほど作りましたが変わった生きものも多かったですね。我々の祖先だと思って見ていただくと面白いのではないでしょうか。実際、1年以上携わっていると愛着もわいてきて、たとえばオパビニアはオパピーといった具合に愛称までついていました。

キャラクターは形を作るだけではただの置物なので、次にそれを動かす作業に入ります。どう動くのか古生物の先生にうかがいながらアニメーションチームが動きをつけます。さらにタイムトラベルをして実際にそこに彼らがいるという映像を作るために、カンブリアの海の中や恐竜世界の景色を実写なりCGで作っていきます。何億年も前の海の中で、実際にアノマロカリスがこういうふうに生きていたんだ、何千万年前の時代には恐竜たちがこういうふうに繁栄していたんだ・・・という世界を見たいので、そこのリアルさにはこだわりました。

そのほかのシーンでも自然番組のように極力実写で撮ることにしました。第1集で、サンショウウオのような生きものが海から上陸するシーンの背景は上甑島(かみこしきしま)、第2集での恐竜時代の背景は北米の針葉樹森で撮影したものです。

番組では、古代動物が目を引きますが、DNAという要素も不可欠です。顕微鏡ですら見えないものですが、それが遠い存在ではなく僕たちの細胞の中に物質として存在している。そのことを感じられるようなデザインがデザイナーから上がってきて、それをCGに起こしているので、そこも見どころです。

こだわりのアナログ手法で生命を表現する音を

音響デザイン 最上 淳

音のない世界に命を吹き込むのが音響デザイナーの仕事ですが、生命が生まれて40億年という壮大な歴史をCGなどで表現していく番組なので実音がありません。そこに音を作るという音響効果の仕事があります。道具やものを使って音を作る生音作業で、誰も聞いたことがない恐竜の足音や鳴き声、さらに今回、たくさん出てくる甲殻類の生きものの音を作りました。甲殻類でいえば、実際にカニを買ってきて、それを使って甲羅の質感を音で再現したり、表現したりという試みもしています。朝5時に築地で一番大きなカニを見つけて、それをスタジオに持ち込み、別に用意したカニとこすりつけたり、殻をめくったりして、その音を録音しました。

しかし、ただ録るだけではありません。今回、音に関して一つこだわりがありました。それは、命を表現するためにアナログ的な音にするということ。CGの質感や量感は音でしか表現できないと思っていたからです。そこで、今はほとんど使われていない6ミリテープを録音機として使いました。6ミリには可変器というのがついていて、音のピッチを変えられるのです。音を高くしたり低くしたり、テープの回転数を上げたり下げたりすることで音に変化が出る。その機能を利用して恐竜の足音や鳴き声、カニの音などを、面白不可思議な音に変えられないかなと思い、いろいろチャレンジしてみたのです。ウミサソリという甲殻類が巨大な魚とバトルするシーンでは、本物でないと表現できない質感を出すため、カニの甲羅をむしる音を録り、6ミリで可変させ、さらにいろいろな音を重ねています。隠し味というか、スパイスとして使うとCGのリアリティーも増して効果的だからです。

恐竜の足音も実際に石を土に落とす音を6ミリテープで可変させ、恐竜の巨体をイメージできるような音にしました。1秒2秒のカットですが、そこにいろいろな思いを音に変換して作っていますので、そのあたりを楽しんで見ていただけたらと思います。

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