2009年2月14日(土)
激しく衝突した北アイルランド紛争。30年にわたる相互テロの応酬で3600人以上が亡くなった。10年前の停戦合意を受けてテロは沈静化したが、双方に残した傷跡はいまだ癒えておらず、日常的な傷害事件や暴動は頻発している。都市ベルファストではいまだ、敵対する地区に足を踏み入れたことのない人がほとんどだ。
憎しみや暴力の連鎖は、どうしたら食い止めることが出来るのか。その答えを探るべく、一つの試みが注目を集めている。敵対する武装組織メンバー、テロの加害者、被害者が集まって、共にアイルランドやスコットランドなどを旅して対話を重ねるプロジェクトが2001年から毎年続けられている。
主催したのはNGOの「グレンクリー」。これまでに7回の対話の旅が行われ、約70人が参加した。参加者はこの旅を通じて、過去の憎しみやわだかまりを克服したいと切実に考えている人たちだ。「争いから離れた自然の中では、対立した者同士が胸にしまい込んだ思いを打ち明け始める」
番組では今年、新たなメンバーで行われる旅に同行取材する。加害被害を問わず紛争によって傷ついた人々は、その傷をどのようにいやそうとしているのか、旅の過程で彼らの何が変わってゆくのか。いまだ紛争の後遺症に悩み、それを乗り越えようともがく人々の現実を見つめる。
※放送日時及び放送内容は変更になる可能性があります。最新の放送予定はNHK番組表よりご確認ください。