2009年9月21日(月)
親からはぐれ、カナダのバンクーバー島の入り江に住み着いたシャチの子ども“ルナ”。仲間がいない寂しさからか、人間の近くに自らやって来たルナと、その姿に戸惑う人びとの姿を追ったドキュメンタリー。
ルナの保護を求める人びとの運動を受け、ついにカナダ政府はルナを捕獲して群れに帰す計画を実行しようとする。ところが、入り江に作った生け簀にルナを誘い込もうと試みた日、先住民たちが長老の生まれ変わりと信じるルナを守るべく、妨害を始めた。彼らは伝統的な船で入り江に漕ぎ出し、歌を歌ってルナを誘い、生け簀から遠ざけてしまった。これに対し、捕獲チームもルナの気を引いて連れ戻そうと試みる。こうして数日間に渡ってルナを巡る双方の攻防が繰り広げられたあげく、捕獲作戦は失敗に終わる。
人間との関係を求めるルナの行動を受け入れるか、ルナのためにも関わらないようにするべきか。住民の迷いや苦悩が続く中、ある先住民の青年は当局の禁止措置を無視して毎日のようにルナと触れあうようになる。すると、ルナと近隣の船や住民とのトラブルは減り、ルナの行動も落ち着きを取り戻す。
そんな中、当局が密かにルナを殺そうとしているというウワサが流れ、それまで客観的な記録をとることに徹してきた制作者自身、これほどまでに人との関係を求めるルナを拒否し続けることはできないと、先住民の青年や他の仲間と一緒に昼夜を分かたずルナの行動を見守り、その安全を確保すると同時に、当局に政策の転換を求める働きかけを始める。
しかしその冬、悲劇が起きる。
制作者は、ルナの存在は他者との友情を求めずにはいられない気持ちが人間以外の動物にもあり得るのだということ、そしてなによりも人間以外にも偉大な命が地球上にあるのだということをわれわれに教えてくれているのかもしれない、と語る。
<ワイルドスクリーン自然番組映像祭 最優秀脚本賞・人と動物部門 最優秀賞 受賞作品>
<ジャクソンホール自然番組フェスティバル 人と動物部門 最優秀賞 受賞作品>
※放送日時及び放送内容は変更になる可能性があります。最新の放送予定はNHK番組表よりご確認ください。