2017年5月10日(水)
「大学さえ出れば豊かさを手に入れられる」と、中国の親たちは貧しくても多くを犠牲にし、子ども達を大学に送りたいと願ってきた。しかしそうした“夢”は叶わず、大学を出ても就職ができない若者たちが増え続けている。中国では1997年に大学が民営化された。優秀な学生は国家の補助がある大学に行くが、それ以外は学費が高い私立大学に行く。ここに高等教育が“ビジネス”となる余地が生まれる。中国のドキュメンタリー制作者・陳為軍が、こうした現実の中でもがきながら、夢をつかもうと進む若者の「理想と現実」を描いていく。その一方で、多くの学生を呼び込もうと詐欺まがいの手口で勧誘する私立大学の“講師”にも密着していく。彼は新たな勧誘のため各地を回る。そして、ある家族に出会う。片手を失った母は、貧しいながらも肉体労働を続け、何とか娘を大学に進学させたいと願っている。少しでも豊かな暮らしを願う母、大学を金もうけの手段にしか思わない“講師”。中国社会を蝕んでいる病巣が見えてくる。
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