シチリア島パレルモにあるカプチン会修道院のカタコンベ（地下墓地）には、千体以上のミイラが安置されている。なかでもひときわ目を引くのは、1920年代にわずか２歳で亡くなった幼女ロザリアのミイラ。まるで生きた少女が眠っているかのようなその姿は「世界で最も美しいミイラ」として知られ、多くの観光客が彼女を一目見ようと訪れる。
ところが、そんなロザリアもここ数年で急激に劣化が進み、美しさにかげりを見せ始めている･･･。
人類学者ダリオ・ビオンビーノは、劣化を止める方法を探し出すことを決意。そのためには、まず誰が、どんな防腐処理をほどこしたのかを突き止めなければならない。修道院の図書室や地元の資料館を調べるうちに、ロザリアの遺体の処理をした医師の名前にたどり着く。果たしてロザリアの美しさの秘密は解明できるのか？
さらに、ミイラを救うため、劣化の度合いや原因を調べようとビオンビーノたちはカタコンベのミイラをひとつひとつＣＴスキャンにかけていく。先端技術が明らかにした驚くべきロザリアの秘密とは？そこからロザリアの劣化を防ぐ方法は見つかるのか・・・。
シチリアの人々にとって自分たちを守る祖先でもあり文化遺産でもあるミイラの謎を解き、劣化を止めるために奮闘する学者たちの取り組みを追う。