2016年6月29日(水)
「アンガディア」という言葉は、インドでは「信用できる人間」を意味する。そしてそれは同時に、ダイヤモンドを秘密裏に運搬する人々の代名詞でもある。
インド西部、グジャラート州メウサナ地区の、ある小さなコミュニティの人間のみアンガディアとして雇われ、125年もの間、ムンバイとグジャラート間を、かつてはラクダで、今では列車で旅してきた。彼らは武器も持たず、ダイヤモンドの包みをバッグや洋服の下に着たベストに入れて運ぶ。アンガディアの会社は60社あり、2千人以上が働いている。これまでダイヤモンドを盗むような背任行為は起きていない。あるアンガディアは言う。「我々の知り合いしかアンガディアにはなれない。そうしないと我々の名誉や職業を守ることはできないからだ。」
ダイヤモンドのカットと研磨に関して、インドは世界第1位の座を占め、世界のダイヤモンドの9割がインドを通過している。ダイヤモンドの原石はグジャラートの工場でカットや研磨の工程を経て、ムンバイから世界中に輸出される。それを支えてきたのがアンガディアだ。
不信と疑念に満ちた現代において、運搬記録さえ持たないアンガディアが、どのようにしてダイヤモンド産業を支えているのか。アンガディアたちに初めて密着取材を行い、知られざるインド・ビジネスの世界に迫る。
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