NHKアナウンス室

アナウンサー仕事の流儀

バックナンバー↓

インタビュー 石橋亜紗

世の中の役に立つ放送をしたい。
9/02
ミュージカル一色の学生時代。
  • どんな学生時代を送りましたか?

    ミュージカル一色でした! 中学、高校と6年間ミュージカル部。授業前の朝練から放課後の部活動まで、歌やダンスの練習に明け暮れました。大学でも、中高の仲間と集まって公演をしたり、他の劇団の舞台に参加したりしました。
    ミュージカルを通して、何かを表現して伝えるということに「楽しさ」を感じていたんです。

  • それはいまの仕事に役立っていますか?

    予想外のハプニングに強くなりました!
    舞台ではいろんなことが起こるんです。例えば、誰かの衣装の飾りが舞台に落ちてしまった・・・このままでは進行に支障がでるし、飾りにつまずいて転ぶ人がいるかもしれない。そんな時、いかに自然に対処できるかを瞬時に考えます。ダンスの振り付けに合わせてサッと拾ったり、舞台袖に向かってこっそり蹴って隠したりしたこともありました。何事もなかったように上手く対応できたときは、心の中でガッツポーズです(笑)。
    冷静に最善の策を考える、これは今の生放送の現場にも生きています。

  • 放送の仕事に興味を持ったきっかけは何ですか?

    大学1年生の3月に東日本大震災があり、被災地の状況を知るため家族でテレビを見ていました。そのとき、それまで「楽しむ」ツールだったテレビが、人の命に直結する情報を伝える「ライフライン」になったんです。
    わたしは、漠然とですが、放送を通じて、世の中の役に立つ仕事がしたいと意識するようになりました。
    そして、災害時の放送や色々な番組を見る中、NHKで仕事をしたいと考えました。
    いま、わたしは、取材した方が喜んでくれると、「すこしは人のためになる仕事ができたかな」と、うれしく思っています。

9/09
人々の気持ちに寄り添いたい。
  • 初任地の熊本で3年目のときに、熊本地震が発生しました。
    どのような仕事をしましたか?

    地震の直後は、大きな被害が出た益城町で取材をしました。刻一刻と状況の変わる避難所の様子を観察し、避難してきた人に話を聞く。また、温かい食事や水がもらえたり、スマートフォンを充電できたりする場所など、情報を整理し、報告していました。現地のみなさんに「少しでも役立つ情報を伝えたい」という思いでした。

  • 取材を通してどんなことを感じましたか?

    アナウンサーの仕事は「聞く」ことから始まるということです。
    被災地では、みなさんが大変な状況です。でも、わたし自身も被災していたので、その怖さは共感できると思いました。みなさんの不安や悩みを聞くことから始めると、「何に困っているか」、「どういった情報が知りたいのか」、放送で伝えたいことを、次第に話してくださるようになりました。

  • ほかにはどんな取材をしましたか?

    被災した障害者をサポートする団体を立ち上げた方を取材しました。その方は、車いすで生活していて被災しましたが、困っている人は他にもいるはずだと、地震から1週間で活動を始めました。「ヘルパーが来られなくなり水や食料をもらいにいくことができない」、「自宅が被災したが、目が不自由で片づけることができない」、「仮設住宅に入りたいがバリアフリーになっていない」など、様々な相談が寄せられていました。地震から時間が経過してもSOSは途切れず、それぞれのニーズに合わせた支援を続けていました。復興が進むというニュースも伝える一方で、状況が変わらず苦しんでいる方もいること、何に困り、何に悩んでいるかは、人によって異なることを痛感しました。
    どんな時でも「人に寄り添う」ことを大事にしようと考える取材になりました。

9/17
みなさんの代弁者でいたい。
  • 司会をしている『ららら♪クラシック』はどんな番組ですか?

    俳優の高橋克典さんと、クラシック音楽の魅力を楽しく、分かりやすく伝える番組です。クラシックは難しいと思われる方もいるかもしれませんが、様々な角度からクラシック音楽を紹介しているので、楽しんでいただけると思います。わたしもテレビをご覧のみなさんと一緒に勉強していくというスタンスで臨んでいます。

  • 土日と祝日の『おはよう日本』のキャスターも担当しています。

    ニュースはもちろんですが、「旬体感」にも注目して欲しいですね。「旬体感」は、毎月1回、わたしが旬のものを探しに、全国各地を訪ねるコーナーです。漁師や生産者のみなさんの熱い気持ちを感じられるように取材しています。みなさんも、一緒に訪ねた気持ちになってご覧ください。

  • 番組を担当する上で、どんなことを大切にしていますか?

    素直でいることです。
    番組ではゲストや取材相手の方の良い表情を引き出したい、気持ちよく話していただきたいと思っています。だから、相手が関心を持っていることを事前に調べるなど準備をして、本番前の会話で距離を縮めておくよう心がけています。
    その上で、やりとりの中で疑問に感じたことは、率直に質問することにしています。わたしは視聴者のみなさんの代弁者でいたいんです。

9/24
好きなことが仕事につながる。
  • 趣味はありますか?

    ダンスはずっと続けていて、良い気分転換になっています。
    それから、小学生のころから女性アイドルが大好きです。アイドルグループのDVDを観ながら一緒に踊っていると、とても元気になります(笑)。
    実は、大阪放送局のころ、アイドルへのインタビューを提案して放送につなげることができたんです。そのときは、趣味が仕事につながることもあるのだとうれしくなりました。

  • 今後、どんな仕事を担当したいですか?

    ナレーションの仕事です。
    この場面には、どんな声の出し方、トーン、息づかいが合うかなど、じっくり考えて表現していく作業は、正解がなく難しいですが面白いです。
    学生時代にミュージカルで「この役に合うのはどんな声?しゃべり方は?」などと考えていたことに、どこかつながるところもあると思います。
    これから年齢を重ねると、声も変化し表現の幅も広がると思うので、色々なジャンルの番組に挑戦していきたいです。

  • 最後に、アナウンサーを目指している人たちにどんなことを伝えたいですか?

    アナウンサーになりたかったらこんな勉強をしなくてはいけない、というのはあまりないように思います。それよりも、興味があること、好きなことを突き詰めてほしいですね。
    わたしも、自分の好きなことが仕事につながったことが何度もありました。
    そして、そんな場面では、自分らしさを発揮することができたと思います。

    ありがとうございました。


ページトップへ↑