NHKアナウンス室

アナウンサー仕事の流儀

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インタビュー 桑子真帆

自分らしさを出していきたい。
12/2
音楽に夢中だった学生時代。
  • 学生のころ、どんなことに興味を持っていましたか?

    ずっと音楽が好きでした。ピアノを3歳のときに習いはじめ大学生まで続けたほか、中学、高校の6年間は吹奏楽部でクラリネットを演奏していました。
    大学では、ブラジル音楽のサークルに入りました。

  • ブラジル音楽ですか?

    ブラジル音楽と一口に言っても、サンバやボサノバ、ロックテイストの音楽、アマゾンの独特な踊りが一緒になった音楽など、たくさんのジャンルがあるんです。そのジャンルごとにバンドを組んで演奏していました。

  • どんな楽器を演奏していたのですか?

    「カイシャ」という太鼓、サックス、キーボードなどです。学園祭などで発表したり、商店街のお祭りでサンバを演奏しながら練り歩いたりもしていました。
    音楽が好きだし、演奏することも大好きなんです。だから、楽器の演奏はこれからも続けていけたらいいなと思っています。

  • 就職活動にはどのように取り組みましたか?

    ファッションや化粧品が好きだったので、主に百貨店や化粧品会社などを志望していました。でも、小学生のころから家族で見ていた『クローズアップ現代』の国谷裕子キャスターに憧れがあって、NHKにもエントリーすることにしたんです。マスコミ対策など全くしていなかったので不安もありましたが、いまでは、思い切って挑戦して良かったと思っています!

12/9
新人時代が仕事の原点。
  • 新人時代にはどんな思い出がありますか?

    初任地は長野で、「放送って何だろう?」、「アナウンサーって何だろう?」というところからはじまりました。
    ラジオで地域のお知らせと気象情報をお伝えする5分間の放送を担当していた時のことです。原稿を一言一句間違えないように読むことだけに集中していた私に、上司は、「桑子真帆が伝えるという意味を考えてみなさい」とアドバイスしてくれました。
    そこで、私は放送の前に外に出て、空を見上げて自分が感じたことを、放送でコメントすることにしたんです。「午前中に降った雨が止んで、空がきれいに見える」とか、「晴れているけど風は冷たい」とか、そういう自分の実感を言葉にして伝える努力をしました。
    この経験は、「アナウンサーって何だろう?」という疑問の一つの答えだったと思うし、私の原点になっています。

  • 長野放送局で特に心に残っている仕事は何ですか?

    戦争中にゼロ戦のパイロットだった男性に取材したラジオ番組です。その方は当時90代でしたが、まるで昨日起きたことのように壮絶な体験を語ってくださいました。「戦闘中に自分が撃った相手と目が合ったとき時間が止まったように感じたこと」、「被弾して野戦病院に運ばれたとき、おっかさん!と叫びながら戦友が死んでいったこと」など。私は、話を聞きながら、いつの間にか涙が止まらなくなっていました。

  • そのときどんなことを学びましたか?

    生の声には胸に突き刺さるものがあることを実感しました。取材させていただいた男性は、数年前に亡くなりました。もう話を伺うことはできませんが、当時ラジオを聴いてくださったうちの誰かの心には、その男性の戦争体験がきっと残っていると思います。私たちが取り組んでいる放送は、誰かの心に何かを残す仕事でもあるんだなと思っています。

12/16
「そもそも」を大事に。
  • 『ニュース ウオッチ9』の担当は3年目になりましたね。

    「その先を知りたい、そもそもを大事に」というのが、『ニュースウオッチ9』のいまのキャッチコピーです。ざっくり言うと、「そもそもを大事に」が私、「その先を知りたい」が有馬嘉男キャスターの担当で、視聴者の代表としての私と、国内外で取材経験を積んだ記者で専門的な知識をもっている有馬さん。職種も世代も違いますが、いいバランスが取れていると思っています。

  • どのようにニュースを伝えたいと考えていますか?

    有馬さんは、社会や世界の情勢に詳しい視聴者も、「いい情報が聞けた」とか「このニュースの本質はそこにあったのか」と思ってもらえるような、一歩踏み込んだ話やこれからの見通しを分かりやすく解説します。一方で私は、「最近よく◯◯って言葉を聞くけど、そもそもそれって何ですか?」、「それはわかりやすく言うとどういうことですか?」と、視聴者を代表してそのニュースの「そもそも」を質問します。
    有馬さんとは、以前担当していた『ニュースチェック11』も含めると4年目に突入して、言葉を交わさなくても何を考えているか分かるようになってきました。私は勝手に「最高のコンビ」だと思っています(笑)。

  • 番組ではどんなキャスターを目指していますか?

    いつも究極の視聴者でありたいと思っています。
    家族や友人と話していて、たまたまニュースの話題になると「そもそも、それって何?」と聞かれることがあります。実は、「それって何?」という疑問はとても大切で、ニュースを伝える側がその感覚をもっていないと、視聴者のみなさんとの距離が離れてしまうように思うんです。
    だから、私は、番組の最初の打ち合わせには、キャスターの桑子ではなく、ひとりの生活者としてまっさらな状態で臨むようにしています。お手本は、私の母だったり、友人だったり・・・それが私の考える究極の視聴者です。

12/23
人や物事にしっかり向き合う。
  • 『ニュース ウオッチ9』以外にも、
    『オドモTV』の『オドモニュース』を担当していますね。

    子どもたちの突拍子もない行動を、シリアスなニュースとしてお届けしています。お腹の中ではクスクス笑いながらも、いたって真面目に真剣に。普段のニュースとはまったく違う思考回路が求められる番組ですね(笑)。
    私が読んでいるニュース原稿は、自分で書いているんです。動画と取材情報を渡されて、それを見ながら考えるのですが、これがまた大変で・・・。でも、面白い原稿が書けたときは、「やってやったぜ!」とめちゃくちゃ気持ちいいです(笑)。

  • 今後はどんな番組を担当してみたいですか?

    これまで、取り組む仕事をどう自分らしく料理できるかを考えてきました。ですから、「次はどんな仕事を担当するんだろう?」というワクワク感を大事にしたいと思っています。
    たとえば、『オドモTV』を担当することになったときは、アナウンサーにはこんな仕事もあるんだと驚きましたが、そういう自分の想像を超えた仕事に出会えるのを楽しみにしています。

  • アナウンサーとして大切にしていることは何ですか?

    人や物事にしっかり向き合うことです。人に対して常に敬意を払いながら、どんな仕事に対しても、そのとき自分が出せる力のすべて注ぎ込む。そういう姿勢を貫きたいんです。
    その上で、自分らしさを出していきたいですね。
    ニュースによって、感情が弾けたり落ち込んだりして・・・素直な気持ちを出しながら、私らしい伝え方を見つけていけたらいいなと思います。

    ありがとうございました。


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