NHKアナウンス室

アナウンサー仕事の流儀

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インタビュー 杉浦友紀

人格を磨く。
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今も昔も、人間って本当におもしろい。
  • 「英雄たちの選択」を紹介してください。

    歴史に名を残した人物が、選択を迫られたときどのような思いでその決断を下したか?専門家の時代考証に基づきながら、英雄たちの胸の内にグイグイ迫る番組です。
    磯田道史さんをはじめとする歴史の専門家だけでなく、いろいろな分野の専門家がそれぞれのアプローチで、英雄たちのすごさだけでなく、人間らしさや弱さも引き出していきます。

  • 司会を務めていて、どんなことを感じていますか?

    歴史上の人物について多角的にみると、やっぱり人間っておもしろいなと思います。数百年の間に文明はものすごい勢いで進化してきたけど、人間には変わらない部分が必ずあって。だから、先人たちが唱えた精神論や組織論、政治論には、現代に生かせることがたくさんあると思うんです。「歴史に学ぶ」重要さをどんどん感じています。
    じつは、私は学生のころから歴史が大の苦手だったんですが、今では打ち合わせの段階からワクワクしています。

  • 「逆転人生」の見どころを教えてください?

    逆境に立たされた人が、どうやってそれを跳ね返したのか?リアルな人生劇をお届けする番組です。絶体絶命のピンチになったとき、どう考えるか、何をするかで状況は一変するんだなと毎回驚かされます。
    また、一緒に司会をしている山里亮太さんのコメントやツッコミが秀逸です。ゲストを傷つけないようにその逆境を笑いに変えたり、ぽつりとつぶやいた言葉に共感できたり、横にいていつも勉強させてもらっています。

  • 人生を逆転した人たちにはどんな共通点がありますか?

    誠実さや信念、ひたむきさでしょうか。特に信念の強い人は、どん底にいても、苦難にたち向かい頑張ることができる。どれだけまわりが反対しても、自分が信じるもののために突き進んでいると、いつか転機が訪れて、人生が逆転するのではないかと思います。
    番組を見て「明日、ちょっと頑張ってみようかな」と思ってもらえたらうれしいですね。

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テレビが大好きです。
  • どんな学生時代を過ごしましたか?

    サークルとアルバイトに夢中になっていました。
    子どものころからテレビが大好きで、バラエティのミニ番組やミュージックビデオ、CMなど、幅広いテーマで映像をつくるサークルに入っていました。私はプリンと携帯電話のCMを作りましたが・・・今にして思えばメインの役割は飲み会の幹事や合宿のセッティングだったかもしれません。先輩や仲間たちが映像を作る手伝いをしながら、さまざまなレクリエーションを企画することが好きでした。

  • アルバイトはどんなことをしていたのですか?

    幼児向けの英語学習コンテンツの制作です。キャラクターを使った幼児雑誌の見開きページの構成を編集者と作ったり、そのキャラクターが登場する映像制作の補助をしたりしていました。幼児教育やマスコミ業界に興味があったので、楽しかったです。
    そのころはNHKのEテレで教育番組を作りたいと考えていました。

  • それでNHKを志望したのですね。

    第1志望はディレクター、第2志望はアナウンサーでエントリーしました。
    だから、アナウンサーとして採用されたときは驚きましたね。自分にアナウンサーとしての資質があるとはまったく思っていなかったので。

  • アナウンサーになってみてどうでしたか?

    学生時代にアナウンサーとしての勉強は何もしていなかったし、すべてがはじめてのことばかりだったので戸惑いました。でも、NHKのアナウンサーは、特に地域局では、自分で話題を見つけて提案し、構成を考えるというディレクターの役割も担います。私の初任地は福井でしたが、そこで、ずっと憧れていた仕事につくことができたと思いました。

4/20
一歩引いて、全体を見る。
  • 福井でどんな新人時代を過ごしましたか?

    取材をしたり構成を考えたりすることは好きでした。でも、原稿を決められた時間内に読んだり、生中継でテンポよくプレゼンしたりすることが苦手でした。コメントも覚えられないし、本当に不器用なんです。
    とはいえ、仕事は楽しかったです。テレビ局で働けること、番組作りに参加できることが、この上ない喜びでした。

  • 特に印象に残っている仕事は何ですか?

    3年目に携わった、全国の校歌を紹介する特集番組です。その中で、廃校になる小学校の子どもたちが卒業式で歌う子守歌に込めた思いを伝えるリポートを提案しました。校歌ではなかったのですが、地域に古くから伝わる子守歌で、卒業生のおばあさんが子供たちに教えた歌です。

  • 番組制作を通してどんなことを学びましたか?

    一歩引いて、番組を客観的に見ることの大切さです。
    取材の時、おばあさんは、小学生たちが歌を大切にする気持ちに涙しました。私は感動し、映像の編集でその場面を加えたんです。ところが試写で、プロデューサーから「その場面はいらない」と言われてしまいました。私は、映像への思い入れを必死に説明したのですが、話全体の流れを考えると、その場面を入れない方が、見ている人に話を分かりやすく伝えることができるという判断でした。
    当時、私は、一歩引いて番組全体を見ることができなかったんです。
    でも、自分が一から取材して、リポートを作り上げたことには、充実感がありました。

4/27
テレビは人格を映し出す。
  • これまでスポーツ番組も担当してきました。

    2012年から『おはよう日本』のスポーツキャスター、2013年からはサタデースポーツとサンデースポーツのキャスターを務めました。
    でも、スポーツの知識が乏しく、様々な競技をどう見ていいのか、インタビューで何を聞けばいいのか、はじめは悩みました。だから、例えば、野球なら中継をみながらスコアブックをつけるなど、基本的なことから勉強したんです。

  • スポーツの取材にはどんな思い出がありますか?

    2013年、東日本大震災から2年、東北楽天イーグルスが日本一になりました。そのシーズン、ほかのスポーツキャスターに比べて知識も経験も足りなかった私は、できる限り球場に行ってチームを取材することにしていました。
    取材を通して、星野仙一監督や選手のみなさんと、少しずつですが、信頼関係を築くことができたのではないかと思います。シーズン終了後には、開幕から24連勝を達成し、翌年からメジャーリーグに行くことになっていた田中将大投手のドキュメンタリー番組の制作にも携わり、インタビューすることができました。
    その年の取材は、スポーツキャスターとして私の財産になり、少しだけですが、アナウンサーとしての自信にもつながりました。
    ひたむきに競技に人生をかけるアスリートの姿に間近でふれ、どんどんスポーツの世界に魅了されました。スポーツキャスターの6年間は、私にとって宝物です。

  • アナウンサーとして大切にしていることはありますか?

    「テレビにはその人の人格以上のものは映らない」という言葉です。初任地の福井で上司から言われました。
    どれだけ背伸びしても、どれだけ着飾っても、どんな仮面を被ったとしても、その人の人格以上のものはテレビには映らない。だから、人格を磨かなければならない。
    今でも、自分が怠けそうになったとき、その言葉を思い出しています。

    ありがとうございました。

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