NHKアナウンス室

アナウンサー仕事の流儀

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インタビュー 佐藤誠太

世の中の「いま」を、丁寧に
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より良い暮らしのためにニュースを届ける。
  • 現在はニュースを担当していますね。

    主に土曜日と祝日の、正午と午後1時、3時、6時のニュースをお伝えしています。
    そのほかにも、曜日を問わず、特設のニュースを担当することがあります。
    この春は、新型コロナウイルス関連をテーマにした国会審議の特設ニュースを担当しました。

  • ニュースを伝える時、心がけていることはありますか?

    私は、ニュースキャスターの役割は、視聴者のみなさんが世の中について考えるための材料を提供することだと思っています。だから、それぞれのニュースのどこが肝なのか、視聴者のみなさんに届くように、聞きやすい音声でお伝えしたいですね。そのために、たとえば、大切な部分は、特にゆっくり読んだり、その前後で間を取ったりしています。

  • 他にはどんな仕事をしているんですか?

    政治番組のディレクターです。国会の会期中は、国会中継の台本を作っています。国会の記者会館にいることが多く、どんなテーマで何が議論の争点になりそうかを取材しています。質疑が止まったときには、その状況に応じてその場でコメントを作り、放送を担当しているアナウンサーに渡すこともあります。

  • 報道の仕事をする上で、どんなことを大切にしていますか?

    そのニュースは、みなさんにとってどのような意味があるのか?暮らしにどう関係してくるのか、どう役立つのかということを、できるだけ伝えたいですね。

  • ニュースを伝えることは、世の中の人たちの暮らしや命を守ることにつながっていると思っています。そのニュースは、人々のよりよい暮らしのために役立てることができるか?命を守れるか?報道の現場にいる者として、この2つを常に考えています。

8/11
世の中に埋もれている声を社会に。
  • どんな学生生活を送りましたか?

    大学は法学部に入り、学生で運営する法律相談サークルで活動していました。
    中学生のころに見ていたテレビドラマの影響で検察官を目指していたんです。
    主な活動は無料の法律相談で、法律事務所に行くのはちょっとハードルが高い、悩みを弁護士に相談したほうがいいのかわからない、そんな人たちにキャンパスまで来ていただき、私たち学生の知識の範囲内でアドバイスしていました。相談の内容は、土地をめぐるトラブルや遺産相続など様々でした。
    依頼者の話にじっくりと耳を傾けることで、その人の考えが整理されていき、「気持ちが軽くなった」と言ってもらえることもありました。このとき、「聞くことの大切さ」に気づいたんです。

  • それがどうしてアナウンサーを志望することにしたのですか?

    検察官は自分が担当した案件を通じて正義を実現しますが、より広く、社会の役に立てる仕事もしてみたいと思っていました。
    そんな時、自分が中学で野球に打ち込み、甲子園を夢見ていたことを思い出し、思い浮かんだのがNHKのアナウンサーでした。甲子園の開会式で、厳しい地区予選を戦い抜いてきた選手たちの晴れやかな表情とその胸の内にある感動や興奮を伝えたいと思ったんです。
    まったく経験のない世界でしたが、思い切ってエントリーしてみました。

  • 学生時代に経験したことで、今の仕事につながっていることはありますか?

    法律相談をしていて抱くようになった、社会的に弱い立場の人の声を聞いてそれを解決したいという思いは、今でもあります。入局したころは高校野球のことばかり考えていましたが、アナウンサーとして経験を積むうちに、子どもの貧困やマタニティハラスメントについてのインタビュー番組なども制作するようになりました。
    自分が取材することによって、世の中に埋もれている声を社会に提起し、解決につなげたいという思いが強くなったんです。

8/17
新人時代の思い出。
  • 新人時代にはどんな思い出がありますか?

    初任地は静岡でした。NHKに入るまでアナウンサーとしての訓練を何もしていなかったので、ニュースでも生中継のリポートでも、とにかく緊張していました。町で視聴者の方に「すごく緊張しているから、見ているこっちまでドキドキしちゃうじゃない」と声をかけられたこともありました。

  • それはどう克服したのですか?

    入局して2年目、東日本大震災関連の報道が転機になったように思います。
    静岡にも避難している方がいたため、被災地から飛び込んでくるニュースを次々に伝えていました。私は「この情報を必要としている人にしっかり届けなければ」という思いで放送していたのですが、気がつくと、それほど緊張しなくなっていたんです。
    情報を伝える相手のことを考えていると、緊張する余裕はなくなるんですね。

  • 2局目の長崎局で印象に残っている番組はありますか?

    被爆70年の年に制作したラジオのドキュメント番組です。被爆者の合唱団がアメリカに渡って歌を披露する取り組みを取材しました。
    合唱団の中には、「原爆を落とした国で自分たちの歌がどのように受け止められるのかとても怖い」と話す人もいましたが、ニューヨークで歌声を披露すると、会場は割れんばかりの拍手とスタンディングオベーションで、被爆者合唱団の歌とメッセージを受け止めていました。

  • 番組を制作して、どんなことを学びましたか?

    被爆者のみなさんの思いを丁寧にすくいとる番組にしたいと考えながら取材しました。だから、70年前に何があったのか、その70年をみなさんはどんな思いで生きてきたのか、何度も会いに行き、話を伺いました。
    この取材を通して、原爆投下という大きな出来事の陰に、一人一人の人生や息づかいがあるということに改めて気づきました。
    それ以来、ニュースを伝えるときも、その背景に人々のどんな思いがあるのか、それまで以上に考えるようになりました。

8/24
ふるさとの言葉に誇りをもつ。
  • 休みの日はどうリフレッシュしていますか?

    料理を作っています。何も考えないでチャーハンやパスタを作っていると頭を空っぽにすることができるんです。普段はニュースについて考えることが多いので・・・。

  • 料理は得意なんですか?

    動画を見たり、レシピサイトを参考にしたりして作っています。
    仕事がある日はなかなか家事ができないので、休日くらいはと台所に立っています。家族へのアピールでもありますね。
    最初は義務感からはじめたのですが、今は楽しいです。いま、子どもがうどんを作ってみたいと言っているので、麺を打つところからやってみようと思っています。

  • 今後、担当してみたい番組はありますか?

    私は秋田県の出身ですが、ひたすら秋田弁で話す番組を放送してみたいですね。秋田弁でないと出せないニュアンスを駆使した番組です。
    秋田弁に限らず、生まれ育った土地の言葉にもっと誇りを持てて、地元の言葉で気兼ねなく語り合える場のような番組を担当してみたいです。

  • 最後に、アナウンサーを目指している人にどんなことを伝えたいですか?

    アナウンサーは様々な分野について取材し、放送に携わります。学生のうちは興味・関心を広げることと、できるだけいろいろな場所に足を運ぶことが大事だと思います。そこで、見たこと、感じたこと、経験したことがアナウンサーになったときに必ず役立つはずです。

    ありがとうございました。


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